会津鉄道AT-400形気動車

会津鉄道AT-400形気動車『風覧望』

会津鉄道のAT-400形気動車は、観光目的で改造された特別な気動車で、愛称は「風覧望」です。この車両は、2003年にJR東日本のキハ40形気動車の一両を改造したものであり、旅行者に快適な移動体験を提供することを目指しています。

概要

会津鉄道は1999年に、JR東日本から購入したキハ30形気動車を改造し、AT-300形の自走式トロッコ車両を導入しました。さらに、2000年にはAT-100形を改造したお座敷気動車も追加し、好評を博していました。新たに展望型の気動車を追加することで、さらなる観光客の誘致を図ることとなり、当初は新造を計画していましたが、予算の都合でJR東日本から廃車されたキハ40 511を購入し、改造を行うことになりました。

運行開始当初は、車体の一部はハイデッカーとして使用され、残りは一般客室として設置されていましたが、2016年6月に一般室をお座敷と改装し、現在の形となっています。導入資金には日本宝くじ協会からの援助が受けられ、この車両は「宝くじ号」とも呼ばれています。

車両の構造

AT-400形の車体設計では、前方1/3がハイデッカー、後方2/3が通常の構造となっています。特にハイデッカー部分には、大きな前面窓があり、乗客は美しい美景を楽しむことができます。運転台部分は混雑した場面でも連結できるよう、後位側は貫通型になっており、一般席の窓は大きく設計されています。

ハイデッカーの客席は、2人掛けの回転リクライニングシートが配置されており、通路を挟んで左右に各3列ごとに設置されています。荷物は、ハイデッカー室に設けられた荷棚に収容できるようになっています。また、運転士の気分を味わえるように、助手席側には折り畳み式の椅子が用意されています。

一般室も従来と同様に回転リクライニングシートが配置されており、トイレは車椅子でも使用できる真空式のものが設置されています。車両の外観は、特徴的な色使いで仕上げられており、前面展望窓部分は深い紺色に塗られています。

走行装置と性能

改造されたAT-400形には、カミンズ製のディーゼルエンジンが搭載されており、動力性能も優れています。エンジンは直列横形6気筒N14R形であり、221kW (300PS) の出力を誇ります。種車から流用された変速機と台車も組み合わされており、制動装置は空気ブレーキが使われています。安全装置としてATS-SNとATS-TSPが装備されており、運行における安全性が確保されています。

暖房装置はエンジンの冷却水を利用した温風式が採用されており、冷房能力に関しても十分で、快適な乗車環境を実現しています。

運用と特別なイベント

AT-400形は、2003年4月に「お座トロ展望列車会津浪漫号」として運用を開始しました。また、様々なイベント運行や、他の鉄道会社への貸し出しも行われています。特に2018年にはアニメ『ノラと皇女と野良猫ハート』とのコラボレーションが行われ、本車両に特別なラッピングが施され、「ノラとと列車」として運行されました。

このように、会津鉄道AT-400形気動車『風覧望』は、観光促進を目的とし、風光明媚な景観を楽しむために設計された特別な交通手段です。その魅力と共に、地域に根ざした観光の推進に寄与しています。

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