伴助兼

伴助兼（資兼） - 源義家郎党の勇士-

伴助兼（とも の すけかね）、後に資兼と改名した平安時代後期の武士は、その武勇で知られた人物です。通称を伴次郎、設楽大夫といい、従五位下に叙爵されました。三河国を拠点とし、三河設楽氏、富永氏の祖として系譜に名を刻んでいます。源義家（八幡太郎義家）の郎党として仕え、義家から厚い信頼を寄せられた一の勇士として歴史に名を残しています。

出自

伴助兼の出自については諸説あります。一説には、景行天皇を祖とする三河大伴部直の後裔という皇胤説が伝えられています。一方、中央豪族の伴氏（伴宿禰）を祖とする系図も存在し、伴善男、大伴駿河麻呂、大伴家持といった著名な人物との繋がりを主張する系図も残されています。

興味深いことに、秋田県横手市雄物川町沼館から出土した「永延三年（989年）」銘の鏡には、「ｲ兼」の名と伴氏と思われる人物の名前が刻まれており、伴氏の系譜を考える上で貴重な手がかりとなっています。これらの情報から、伴助兼の出自は未だ確定しておらず、今後の研究が待たれるところです。

活躍と功績

伴助兼は三河国で生まれ育ち、源義家と深く関わったことで知られています。伝承によれば、治暦元年（1065年）、義家の命を受け、現在の福島県二本松市に位置する住吉山城（四本松城）の築城に関わったとされています。

そして、永保3年（1083年）に勃発した後三年の役では、その武勇を遺憾なく発揮しました。舅である兵藤正経と共に、清原（藤原）清衡の襲撃を受けた清原真衡の邸宅から、真衡の妻と成衝を救出するという活躍を見せました。この功績により、義家からその武勇を賞賛され、源氏八領の一つともいわれる貴重な薄金の鎧を下賜されました。しかし、金沢柵攻略戦において、城内からの落石によって兜を打ち落とされ、惜しくもその鎧を紛失したという逸話も残されています。豊田市猿投神社に伝わる樫鳥縅鎧（重文）は、この薄金の鎧を助兼が奉納したものであると伝えられており、その武勇と信仰心が窺えます。

承徳3年（1099年）には、従五位下という高い位階に叙爵され、その功績が朝廷によって認められたことを示しています。

系譜と子孫

伴助兼の系譜は、父が伴助高であることが分かっていますが、母については不明です。妻は兵藤正経の娘であり、彼の子孫は三河地方に勢力を築き、その子孫たちは日本の歴史に様々な形で関わっていったと考えられています。

分かっている子息には、伴親兼、伴資親、伴親忠、伴資正らがおり、女子には和田影道室がいます。これらの氏族は、後の時代においても地域社会に大きな影響を与え続けたと推測されます。

まとめ

伴助兼は、その出自こそ不明な点が残るものの、源義家郎党として活躍し、後三年の役での功績、そして高い位階への叙爵など、数々の業績を残した平安時代後期の重要な人物です。彼の生涯は、当時の社会情勢や武士の生き様を知る上で貴重な資料であり、歴史研究においても重要な位置を占めています。また、その子孫が各地に広がり、地域社会に貢献した点も注目に値します。今後の研究によって、伴助兼とその一族に関する更なる知見が得られることが期待されます。

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