低床バス

低床バスの概要

低床バス（ていしょうバス、英: low-floor bus）は、床面が低く設計され、乗降口との段差を小さくしたバスです。主に乗客の利便性を向上させるために開発され、特に車椅子やベビーカーを使用する人々に配慮されています。床面の高さは通常350mm以下に設定されています。

このような低床設計では、車両に補助スロープを取り付けることが一般的で、車椅子が容易に乗降できるようになっています。日本ではこのタイプのバスをノンステップバスまたは超低床バスと呼ぶことが多く、乗客の利便性を一層高めているのが特徴です。

各国の低床バス導入状況

欧州における導入

ドイツでは、1989年に低床バスが初めて導入され、車椅子やベビーカーを利用する利用者のアクセスが容易になるように設計されています。具体的には、バス全体の地上高を下げ、床面も道路から30cm程度の高さに設計されています。

スウェーデンのストックホルムでは、1996年時点で約1600台の路線バスが運行されており、そのうち125台が低床バスです。乗降口の高さは30〜35cmであり、ニー・リングシステムにより、さらに20cm程度の高さまで下げることが可能です。

イギリスでは、ロンドンが1994年から低床バスを導入し、年末までに5路線で68台が運行されました。床面の高さは通常32cmですが、新型車両では28cmとさらに低く設計されています。また、エアサスペンションを用いて、条件によっては床面をさらに下げることが可能です。

日本における低床バスの歴史

日本では、2000年11月に旧交通バリアフリー法が施行され、バスの出入口に関する基準が設定されました。この法によれば、出入口間の床面の高さは650mm以下、スロープ板や車椅子スペースの設置が求められ、通路の有効幅も80cm以上にしなければなりません。その結果、出入口間の床面の高さが350mm以下で段差のないノンステップバスや超低床バスが推奨されるようになりました。また、床面の高さが650mm以下で段差が1段のワンステップバスという種類も存在します。

1970年代前半には、ツーステップバスの低床化が進み、当初は900mm以上あった床面を、サスペンションの設計を工夫することによって約100mm下げた一般低床車が開発されました。1980年代には、偏平率70%程度のタイヤを使用してさらなる低床設計が進み、都市型低床車が登場しました。このような流れを受けて、後のノンステップバスやワンステップバスの開発が進められています。

低床バスの例

低床バスは様々な設計があり、国や都市によってその形態も異なります。バスのデザインや技術において、利用者の利便性を意識した製品が多く開発されており、今後もさらなる普及が期待されます。

さまざまな形態の低床バスは、公共交通機関における重要な改善措置となり、移動の自由を享受できる運輸環境の実現に寄与しています。

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