ツーステップバス

ツーステップバスの概要

ツーステップバスは、乗降口に2段の踏み板がある、床面の高さが650mm以上のバスです。バスの床面高さは、900mm以上を標準床、800～900mmを一般低床、800mm以下で扁平タイヤを用いたものを都市型低床と分類します。

ツーステップバスは、乗降のしやすさを向上させる工夫が凝らされた車両です。例えば、神奈川中央交通では、従来型のツーステップバスの下段の一部を可動式にして、ドアを開けた際に踏み板を下げて3段にする「新ステップ車」を導入しました。また、都営バスでは、もともと低床のワンステップバスの出入り口にステップを2段追加した「らくらくステップバス」を運行しています。

1990年代には、車椅子利用者も乗車できるように、ツーステップバスに車椅子用リフトを搭載した車両が一部地域で導入されました。しかし、バリアフリー法の施行などを背景に、2000年代以降、山岳路線や高速道路を経由する場合を除き、一般路線バスではツーステップバスは急速に姿を消していきました。

ツーステップバスは、足腰の弱い乗客にとっては乗降に苦労する面がありますが、車内には段差がないため、車内での転倒事故のリスクが低いという利点があります。また、ワンステップバスやノンステップバスに比べて、乗客の収容力が高いことも特徴です。

路線バス用の大型ツーステップバスの製造は終了しましたが、自家用用途（トップドア車）の大型ツーステップバスは、2017年まで製造されていました。しかし、いすゞ・エルガと日野・ブルーリボンの自家用ツーステップバスは2017年に自家用ノンステップバスにモデルチェンジされ、三菱ふそう・エアロスターの自家用ツーステップバスも2017年のマイナーチェンジで設定が廃止されました。そのため、観光用途などを除き、日本では2017年以降、ツーステップバスは製造されていません。

例外として、名古屋ガイドウェイバスでは、床下に案内装置を搭載するスペースを確保するためにノンステップバスを導入することができず、2013年から導入された新型車両では、試作車扱いでツーステップバスに改造した車両が導入されています。この車両には、中扉に車椅子用リフトが装備されています。

また、トヨタ自動車の燃料電池バス「トヨタ・SORA」では、水素タンクを通常の約2倍搭載した移動式発電・給電システム実証実験用車両が製造されました。この車両は、床下にも水素タンクを搭載する必要があったため、ノンステップバスをツーステップバスに改造した事例となっています。

このように、ツーステップバスは、バリアフリー化の進展により減少傾向にありますが、特殊な用途では現在も利用されています。その特徴である車内の段差の少なさや収容力の高さは、今後も評価される要素と言えるでしょう。

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