住友生命いずみホール

住友生命いずみホールは、大阪市中央区城見の大阪ビジネスパーク（OBP）内に位置する住友生命OBPプラザビルに併設された、クラシック音楽を中心としたコンサートホールです。このホールは、その優れた音響と独特の空間デザインで知られています。本稿では、住友生命いずみホールの特徴と、ホールが所在する住友生命OBPプラザビルについて詳細に解説します。

住友生命OBPプラザビルは、OBPエリアの中でも住友生命保険ブロックの南東部に配され、オフィス機能と文化施設としてのいずみホールを組み合わせた複合施設として計画されました。ビル構成は、高層部（7階から17階）をテナントオフィスフロア、そして低層部（2階から6階）をいずみホールが占める形となっています。外観デザインは、周辺の住友生命関連の建物との景観的な連続性を考慮しつつも、音楽ホールとしての存在感を示す特徴的なものとなっています。オフィスフロアの基準階は広々とした約1,650平方メートルの面積を持ち、南北に配置された二つのコアと約1,300平方メートルの事務室空間で構成されています。

いずみホールは、住友生命が創立60周年を迎えた際の記念事業の一環として建設されたコンサートホールです。最大の特徴は、その音響を追求した構造にあります。座席数821席の客席は、「シューボックス型」と呼ばれる直方体に近い形状をしており、これにより豊かな響きと明瞭な音像を実現しています。ホールの音響設計にあたっては、世界的に有名なウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地であるウィーン楽友協会大ホールがモデルとされました。これは、演奏者と聴衆との間に一体感が生まれ、互いの気配を感じながら深く音楽世界に没入できるような、理想的な音場を創出することを目指したものです。また、ホールのステージには、フランスのケーニヒ社が精巧に作り上げたパイプオルガンが設置されており、オルガンを用いた演奏会も重要なプログラムの一つとなっています。

ホールの質の高いプログラムと音響設備は広く認められており、2016年11月には「優良ホール100選」の一つに選出される栄誉を受けています。大阪を拠点に活動するプロオーケストラ、いずみシンフォニエッタ大阪は、このホールのレジデントオーケストラとして、定期的な公演を行っています。ホールの名称に冠されている「いずみ」は、住友家の屋号である「泉屋」に由来しており、住友グループの歴史と文化への敬意が込められています。

ホールの歴史において、重要な出来事として大規模改修と名称変更があります。開館から約30年を迎えるにあたり、安全性と快適性を一層向上させるため、2018年3月から9月末にかけて大規模な改修工事が実施されました。さらに、2020年4月1日には、ホールの正式名称がこれまでの「いずみホール」から現在の「住友生命いずみホール」へと改称されています。

開館当初から、著名な音楽学者である礒山雅氏がホールの音楽ディレクターとして、その運営方針やプログラム策定に深く関わってきました。しかし、2018年に磯山氏が不慮の事故により急逝されました。これに伴い、2021年春からは、磯山氏の薫陶を受けた音楽学者の堀朋平氏が新たに音楽アドバイザーに就任し、ホールの芸術的方向性を支えています。

住友生命いずみホールへのアクセスは、大阪市内の主要駅から至便です。JR大阪環状線の大阪城公園駅からは徒歩約3分、Osaka Metro長堀鶴見緑地線の大阪ビジネスパーク駅からは徒歩約5分、そしてJR大阪環状線・JR東西線・京阪本線が乗り入れる京橋駅からも徒歩約8分で到着できます。

他に関連情報として、東京の紀尾井ホールや名古屋の三井住友海上しらかわホールとは友好関係にあり、文化交流も行われています。また、住友生命OBPプラザビルには、100円ショップを展開する株式会社ワッツなどが本社を構えています。

住友生命いずみホールは、その優れた音響性能と、厳選されたプログラムによって、関西圏におけるクラシック音楽振興の中心的役割を担う存在です。ホールの最新情報や公演スケジュールは、公式サイトや公式X（旧Twitter）で確認できます。

もう一度検索