住友吉左衛門

住友吉左衛門：住友家歴代当主の足跡

住友吉左衛門（すみとも きちざえもん）は、住友財閥の創業家である住友家において、3代目以降の当主が代々襲名してきた名前です。この名を受け継いだ歴代当主たちは、それぞれの時代において住友家の発展に大きく貢献しました。

住友吉左衛門の始まり

「吉左衛門」の名を最初に名乗ったのは、3代目の住友友信（とものぶ）でした。正保4年（1647年）に生まれ、宝永3年（1706年）に没した友信は、住友二代目友以の五男であり、彼の代から住友家の当主は代々「吉左衛門」を襲名するようになりました。

友信は、岡山県の吉岡銅山や秋田県の阿仁銅山などの経営に乗り出し、幕府御用の銅山師として、住友家を日本一の銅鉱業者へと発展させました。

住友財閥発展の礎

4代目住友友芳（ともよし）は、寛文10年（1670年）に生まれ、享保4年（1720年）に没しました。彼の時代に住友財閥は大躍進を遂げます。その最大の要因は、元禄4年（1691年）に開発された愛媛県の別子[[銅山]]でした。別子[[銅山]]は昭和48年（1973年）に閉山されるまで、282年間にわたり銅を産出し続け、住友の重要な収入源となりました。この功績から、友芳は住友家において「中興の祖」と称えられています。

大正3年（1914年）には、正五位が追贈されています。

その他の歴代当主たち

5代目の友昌（ともまさ）以降も、友紀（とものり）、友輔（ともすけ）、友端（ともただ）、友聞（ともひろ）、友視（ともみ）、友訓（とものり）と、「友」の字を受け継ぐ当主たちが続きました。

9代目の友聞は岡村家から養子に入り、11代目の友訓は弘化2年（1845年）に生まれ、元治元年（1864年）に若くして亡くなりました。

12代目の友親（ともちか）は、天保14年（1843年）に生まれ、明治23年（1890年）に没しました。11代友訓の兄であり、48歳で死去。奇しくも同月、13代吉左衛門友忠も19歳で亡くなったため、友親の母である登久が急遽14代目を継承することになりました。

13代目である友忠（ともただ）は、明治5年（1872年）に生まれ、明治23年（1890年）に19歳で亡くなりました。

一時的な家督相続と近代の住友家

14代目の登久（とく）は、友親の妻であり、友忠の母でした。13代友忠の夭折により、一時的に住友家の家督を継承しました。

15代目の友純（ともいと）は、元治元年（1865年）に生まれ、大正15年（1926年）に没しました。徳大寺公純の六男であり、初名は隆麿。彼は、野村徳七、小林一三と並ぶ大茶人であり、益田孝、団琢磨、原富太郎、根津嘉一郎に匹敵する風流人でした。号は春翠。

1895年には住友銀行を創設し、住友家茶臼山本邸（慶沢園）を大阪市に寄付して大阪市立美術館となりました。また、大阪府立中之島図書館の建物と図書基金を寄付したほか、京都法政学校（現在の立命館大学）にも財政的援助を行いました。男爵を授けられ、貴族院議員にも選出されています。

16代目の友成（ともなり）は、明治42年（1909年）に生まれ、平成5年（1993年）に没しました。アララギ派の歌人でもあり、斎藤茂吉、川田順とも交流がありました。歌人としての名は「泉幸吉」です。

現代の住友家

現在の17代目当主は、住友芳夫（よしお）です。昭和18年（1943年）生まれで、住友財団の理事長を務めています。彼は、16代友成の甥にあたります。

住友吉左衛門の名は、単なる名前ではなく、住友家の歴史と伝統、そして事業精神を受け継ぐ象徴として、今も重みを持っています。

もう一度検索