佐々井秀嶺

佐々井秀嶺：インド仏教復興に捧げた生涯

佐々井秀嶺（ささい しゅうれい、1935年8月30日 - ）は、インドを中心に活動する僧侶であり、インドラ寺の住職を務めています。インド名はアーリヤ・ナーガールジュナとして知られています。彼は、インドにおける仏教復興運動において重要な役割を果たし、特にカースト制度の下位に置かれたダリット（不可触民）の人々の仏教への改宗を推進しました。

生い立ちと修行

1935年、佐々井秀嶺は岡山県に生まれました。中学卒業後、様々な職業を経験した後、精神修養塾に入塾し、その後、寺男として修行を積みます。1960年には高尾山薬王院にて得度し、「秀嶺」の法名を授かります。その後も各地で修行を重ね、大正大学の聴講生となる傍ら、雑誌発行や浪曲師、易者としての活動も行いました。

インドでの活動

1965年、佐々井はタイへ留学し、その後インドへ渡ります。ナーグプルに移り住んだ彼は、1969年に初の寺院「インド山妙法寺」を建立し、布教活動を開始しました。1970年には、ボンベイの大学で思想家ビームラーオ・アンベードカルの研究を行い、彼の遺骨をナーグプルに分祀しました。アンベードカルは、インドにおける不可触民解放運動の指導者であり、佐々井の活動に大きな影響を与えました。

社会事業と遺跡発掘

佐々井は、仏教寺院や福祉施設の建設運営にも力を注ぎました。ナーグプルを中心に、多数の寺院、学校、診療所、孤児院、老人ホームなどを建設し、運営しています。これらの資金は、托鉢や寄付によって賄われています。

また、佐々井は考古学的な探求にも情熱を注ぎました。特に、南天鉄塔の探究に力を入れ、マンセル遺跡やシルプル遺跡の発掘調査を主導しました。これらの遺跡から、仏教関連の遺物が多数発見され、古代インド仏教の研究に貢献しています。

政府内活動と大菩提寺管理権返還運動

佐々井は、インド政府少数派委員会の委員として、仏教徒の権利擁護や仏教遺跡の管理権返還のために活動しました。また、大菩提寺（マハーボーディ寺）の管理権返還運動を主導し、仏教徒による寺院の管理を求めました。この運動は、数万人規模のデモや座り込みなどの抗議活動となり、最終的に大菩提寺はユネスコ世界遺産に登録されました。

その後

2009年には、44年ぶりに日本へ帰国し、各地で講演会を行いました。2010年には、ナーグプル郊外に「龍樹菩薩大寺」を建立。2012年には、大菩提寺の仏教徒による管理を求め、インド最高裁判所に提訴しました。2023年には、4年ぶりに来日し、「佐々井秀嶺デジタルアーカイブ」が開設されました。

受賞歴

1986年：ナーグプル仏教徒委員会より菩薩号を贈与
1994年：アンベードカル国際賞
* 2004年：マハーラーシュトラのナーガブーシャン賞

佐々井秀嶺は、インドにおける仏教復興に多大な貢献をした人物として、広く尊敬されています。彼の活動は、インド社会における仏教の地位向上に大きく貢献し、多くの人々に希望を与えています。

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