佐々弘雄

佐々 弘雄の生涯と功績

佐々弘雄（さっさ ひろお、1897年1月23日 - 1948年10月9日）は、日本の著名な政治学者、ジャーナリスト、そして参議院議員であり、彼の生涯は日本の近代政治史において重要な役割を果たしました。彼は東京都に生まれ、衆議院議員である佐々友房の三男として育ちました。東京府立第四中学校と第五高等学校を経て、東京帝国大学法学部政治学科に入学し、吉野作造や美濃部達吉といった著名な学者から教えを受けました。

卒業後、佐々は東京帝国大学の副手や助手を経験した後、外務省欧米局に嘱託として勤務し、約2年間の留学生活を送りました。特にドイツにおいては、ハイパーインフレやヴァイマル共和国の政治状況を直接目撃し、ナチスの台頭を反ヒトラーの立場から批判しました。こうした経験を経て、帰国後は九州帝国大学法文学部の教授に就任し、政治学の教鞭を執りましたが、1928年に「赤化教師」として大学を追放されることになりました。

大学を辞職した後、佐々は中野正剛が経営する『九州日報』や雑誌『改造』、さらに『中央公論』へ政治評論を寄稿し、次第に名声を高めていきました。彼は朝日新聞社に入社し、近衛文麿のブレーントラストである昭和研究会に参加，そして昭和塾を設立するなど、当時の政治運動に深く関与しました。また、麻布区にあった自宅には多くの政治家や将校が集まり、多様な意見が交わされる場となっていました。

その後、佐々は東條派の監視対象となり、特高警察に注視され続けました。1942年には朝日新聞社の副主筆に就任し、1945年には同社内の権力闘争を経て浪人生活に突入しますが、再び九州大学に復帰し教鞭を取ることになります。1947年には第1回参議院議員通常選挙に立候補し当選し、緑風会の一員として活動を続けました。

戦後の佐々は心内膜炎を患い入院した際に適切な治療を受けられず、1948年にわずか51歳の若さでこの世を去ります。彼の業績は彼の家族にも引き継がれ、彼の長男には著名な歴史作家である佐々克明、次男には防衛官僚として知られる佐々淳行がいます。

著作と思想

佐々弘雄は多くの著作を残しており、特に政治に関する批評や理論において重要な役割を果たしました。彼の著書には『政治の貧困 転換期の政治批判』、『大衆政治読本』や『日本ファッシズムの発展過程』などがあります。これらの著作では、彼自身の政治観や時代背景が反映されており、特に当時の日本社会における民主主義やファシズムに対する深い洞察が見られます。

彼の思想は単なる学問的なものにとどまらず、彼自身の政治的な活動や関与にも影響を与えていました。特に昭和研究会や昭和塾を通じて、彼は当時の権力者たちとの関係を築くことで自身の意見を広め、実際の政治に影響を与えることもありました。

家族と遺産

佐々弘雄の家族も彼の影響を受け、彼の子どもたちは様々な分野で活躍しています。彼の妻は図書館学者の和田万吉の娘であり、佐々弘雄は家族の中で政治や教育に関する話題が尽きることがなかったといわれます。彼の業績は、今日でも日本の政治学やジャーナリズムの分野で重要な指標となっています。

佐々弘雄の生涯は、戦前から戦後にかけての日本における政治的変動の中での彼自身の努力と挑戦の物語であり、彼の思想や業績は今後の政治学者や評論家にとっても貴重なテーマであり続けるでしょう。

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