佐々木史朗 (映画プロデューサー)

佐々木史朗の生涯と映画業界への貢献

佐々木史朗（ささき しろう、1939年1月22日 - 2022年4月18日）は、日本の映画プロデューサーであり、非商業主義的なアート映画への貢献で知られています。本名は佐々木正路で、彼は日本アート・シアター・ギルド（ATG）の活動において重要な役割を果たしました。彼の名は、多くの若手映画監督や作品に対する支援と指導によって、日本の映画歴史に燦然と輝いています。

人物と業績

佐々木氏は、ATGの中で他の映画制作会社とは異なる独自の道を邁進し、日本映画史に多大な影響を与えました。彼は日本アカデミー賞協会特別賞や文化庁映画賞（映画功労部門）を受賞するなど、その功績が評価されました。特に、東京国際映画祭の創設に寄与し、多くの若手監督たちにチャンスを与えました。

彼の作品には、黒沢清がカンヌ国際映画祭のある視点部門で監督賞を受賞した『岸辺の旅』などがあるほか、映画『ヒポクラテスたち』『転校生』『家族ゲーム』『20世紀ノスタルジア』『ナビィの恋』など数多くの名作のプロデュースを手がけました。

早期のキャリアとATGへの関与

佐々木氏は関東州大連市で生まれ、山口県立岩国高等学校を卒業後、1959年に早稲田大学に入学しますが、中退し、鈴木忠志や別役実と共に早稲田小劇場を設立します。その後、1963年からTBSテレビの演出部で活躍し、1970年に退社。自ら「東京ビデオセンター」を設立し、テレビ番組の制作に携わります。

ATGとの出会いは1978年で、以降はATGの二代目社長として多くの作品を手がけました。特に、若手の自主映画監督や成人映画出身の監督たちに一般劇場映画の制作の場を提供しました。1989年にはアルゴプロジェクトに参加し、新たな邦画の配給・興行体制の確立に取り組みました。

後期の活動と教育への寄与

1993年にはプロデュース事務所「オフィス・シロウズ」を設立し、自ら代表を務めました。また、日本映画製作者協会の副理事長を務めるなど、映画界への影響力を持続させました。教育面でも早稲田大学や立命館大学で客員教授として講義を行い、次世代の映画人を育成しました。2011年に開校した日本映画大学の理事長も務め、若手映画人の発掘と支援に努めました。

家族と著作

佐々木氏の著作には『時の過ぎゆくままに』があり、彼の思考やビジョンが示されています。また、長女で詩人・パフォーマーの三上その子も彼の影響を受けて育っています。

2022年4月18日、佐々木氏は肺がんによりこの世を去りましたが、彼の映画界への貢献と影響力は今もなお残り続けています。彼の作品や活動から得た影響は、次世代の映画人によって受け継がれていくことでしょう。

もう一度検索