佐々木正蔵

佐々木 正蔵について

佐々木正蔵（ささきしょうぞう）は、1855年11月30日に生まれ、1936年2月7日に亡くなった日本の治水家であり政治家です。彼は明治時代から大正時代にかけて活躍し、筑後川の治水に力を入れました。

出生地である筑後国御井郡光行村（現在の福岡県小郡市）で佐藤家に生まれ、後に佐々木家の養子となり、地元の庄屋として地域の発展に寄与しました。地元の庄屋である田中政義・新吾親子と共に、頻繁に氾濫を起こしていた筑後川の問題に目を向け、その治水に関する調査を実施しました。

明治14年（1881年）、彼は田中親子と共に福岡県議会議員に当選し、県会で治水の重要性を強く訴えました。さらに、上京して政府との交渉も行い、筑後川の改修を求める活動を展開しました。

明治23年（1890年）には第1回衆議院議員総選挙で福岡県第四区から立候補し、当選を果たしました。その後、彼は国民協会や憲政会といった政党に所属しながら、治水政策の必要性を声高に主張し続けました。彼の活動により、筑後川改修事業は明治20年（1887年）に着手され、明治36年（1903年）に竣工を迎えました。

治水工事に対する傑出した貢献が評価され、大正5年（1916年）には勲三等に叙せられる栄誉を獲得しました。彼は治水事業に対して深い情熱を持ち、地域の災害対策に尽力してきたことが功を奏し、82歳で生涯を閉じました。

彼の業績を讃えるため、佐々木正蔵と田中新吾の銅像が建立されましたが、戦時中の金属回収により姿を消してしまいました。ただし、銅像の台座は久留米百年公園に残されています。さらに、佐々木正蔵に関連する貴重な文書は小郡市史編さん室により調査され、その一部は『小郡市史』資料編に収められています。特に、明治24年（1891年）の第一議会開会前後に書かれた書簡の草稿集「備忘録」は、当時の政治家の動向を示す貴重な一次史料として、研究者たちの間で高い関心を集めています。

佐々木正蔵の治水事業への影響は、筑後川の開発のみならず、地域住民の生活を守るための重要な取り組みであり、彼の存在は現在においても広く評価されています。

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