佐久地域

長野県東信地方に位置する「佐久地域」（さくちいき）は、小諸市や佐久市を中心とする一帯を指す呼称であり、「佐久地方」とも呼ばれることがあります。長野県を行政的に10区分する場合に用いられる地域区分の一つです。

概要

この地域は、概ね佐久広域連合が管轄する範囲と一致します。2005年時点の人口は約22万人に上りました。
県内の上田地域や諏訪地域と隣接するほか、北部と東部は群馬県、南部は山梨県に接しています。特に碓氷峠や内山峠を挟んで群馬県と向き合っていることから、長野県の中でも関東地方との結びつきが最も強い地域とされます。また、南佐久郡では山梨県中北地域との交流も活発です。

歴史

佐久地域は古くから交通の要衝としての重要性を担ってきました。古代には主要街道である北国街道の起点として、また中山道も域内を通過していました。特に信濃国と上野国を隔てる碓氷峠は、重要な地理的ポイントであると同時に越えるのが難しい難所として知られていました。
このような地理的条件から、戦国時代にはその戦略的重要性から度々歴史の舞台となりました。武田信玄による信濃平定や、武田氏滅亡後の織田信長家臣、さらには天正壬午の乱における徳川家康による信濃平定において、佐久地域は隣接する諏訪地域と共に、重要な拠点として位置づけられました。

近代以降の交通

近代以降も佐久地域は、北陸新幹線や、1997年にJR東日本から経営が移管されたしなの鉄道線（旧信越本線の一部）、上信越自動車道、中部横断自動車道といった高速交通網に加え、国道18号、国道254号、国道142号、地域を南北に縦断する国道141号など、主要な道路網が集中しています。このため、現在も関東地方から長野県各地、さらには新潟県や山梨県へ向かう際の交通や物流の重要な拠点としての役割を果たしています。

経済・観光

地域経済の中心は、かつて小諸市が担っていましたが、1990年代以降の交通網整備、特に上信越自動車道の開通や北陸新幹線の開業に伴って整備されたバイパス道路などにより、佐久市が急速な経済成長を遂げました。これにより、経済の中心地としての主導権は佐久市へと移り、2000年にはそれまで独立した都市圏であった小諸都市圏が佐久都市圏に包含されるに至りました。
豊かな自然に恵まれた佐久地域には、軽井沢や蓼科高原といった著名な観光地が点在しており、国内外から多くの観光客が訪れます。

構成市町村

長野県が定義する佐久地域には、以下の市町村が含まれます。

小諸市
佐久市
北佐久郡（軽井沢町、立科町、御代田町）
南佐久郡（佐久穂町、小海町、川上村、南牧村、南相木村、北相木村）

これらに加え、東御市の北御牧地区（かつての北佐久郡北御牧村）を佐久地域と見なす場合もあります。

地域内の区分

地理的な特徴や交通網の関連性から、佐久地域をさらに三つの小地域に分ける考え方もあります。

佐久地域北部：小諸市、軽井沢町、御代田町から成ります。佐久盆地の北端に位置し、浅間山の南麓から南東麓にあたります。しなの鉄道線と国道18号が地域を貫いており、隣接する東御市や上田市との交流が活発です。
佐久地域中部：佐久市、佐久穂町、立科町が含まれます。佐久盆地の中心部から南部にかけて広がり、蓼科山の北麓から東麓に相当します。地域内を東西に国道142号、南北に国道141号が走り、北陸新幹線の佐久平駅を中心に新たな都市圏が形成されています。なお、佐久穂町を佐久地域南部と位置づける見方もあります。
* 佐久地域南部：小海町、川上村、南牧村、南相木村、北相木村といった南佐久郡の南部エリアです。奥秩父山塊と八ヶ岳・蓼科山に挟まれた、比較的標高の高い峡谷状の地形をしています。南端には野辺山高原が広がり、隣接する山梨県の清里高原や北杜市、韮崎市との交流が盛んです。南相木村と北相木村の二村は、他の市町村へ移動する際に小海町を経由する必要があります。

地域の中核的な行政機能は、佐久市に置かれた佐久地域振興局が担っています。

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