佐竹寺

佐竹寺の概要

基本情報

佐竹寺（さたけじ）は、茨城県常陸太田市に属する真言宗豊山派の寺院で、山号は妙福山、院号は明音院と名付けられています。寺の本尊である十一面観世音菩薩は、坂東三十三観音霊場の22番札所としても知られ、歴史的・宗教的な価値を有しています。寺の本尊真言は「おん まか きゃろにきゃ そわか」とされ、多くの信者がこの寺を訪れます。また、寺を称える詠歌は「ひとふしに千代をこめたる佐竹寺 かすみがくれに見ゆるむらまつ」というものがあります。

歴史

寺の起源は、大同2年（807年）にさかのぼると伝えられていますが、坂東霊場記によれば、寛和元年（985年）に花山院が他の僧とともに建立したとされています。最初は観音寺と呼ばれ、現在の位置から西にある洞崎の峰に設立されていました。

源義光の孫である源昌義が寺領を寄贈し、祈願所を設けた後、彼はこの寺で特別な竹を発見し、これを瑞兆と見なして佐竹氏の名を名乗るようになりました。1543年、兵火により寺は焼失しましたが、1546年に佐竹氏の18代目、佐竹義昭の手によって現在地に再建されました。寺は六支院や三ヶ坊を擁し、栄華を極めましたが、関ヶ原の戦い以後、佐竹氏が出羽に移封されたことで衰退しました。それでも、江戸時代には坂東三十三観音霊場の一部として多くの信者が訪れ、賑わいを見せました。しかし明治に入り、廃仏毀釈が進むと寺の荒廃が始まり、1949年まで無住の状態が続きました。

建築物

佐竹寺の往年を感じさせる建物は本堂のみで、特に注目すべきは北向きに建設されたその立派な本堂です。本堂は寄棟造りで、茅葺き屋根を持ち、こけら葺の裳階を備えています。正面には唐破風が見受けられ、窓や柱、梁に施された意匠は桃山建築の影響を色濃く残しています。本堂は1906年に国の重要文化財として指定されています。

また、山門（仁王門）は1940年に再建され、そこには宝永年間に作られた仁王像が安置されていますが、現在は修復のために移動しており、修復が完了した山門のみが見られる状態です。寺務所は山門を通って右手に位置しており、納経所も兼ねています。

文化財

佐竹寺の本堂は、室町時代後期に建設されたもので、桁行五間、梁間五間の構造を持ち、寄棟造、茅葺といった特徴があります。本堂には一重もこしが付いており、正面中央には唐破風が設けられています。この歴史的な建物は明治39年（1906年）に国の重要文化財に指定されました。

アクセス

所在地は、茨城県常陸太田市天神林町2404です。最寄りの水郡線（JR東日本）常陸太田駅からは茨城交通バスで天神までアクセス可能ですが、バスの本数が少ないため、タクシーの利用をお勧めします。また、常陸太田駅から徒歩での移動も可能で、所要時間は約30分です。寺院の敷地内は自由に散策することができます。

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