佐竹義重 (十八代当主)

佐竹義重

佐竹義重（さたけ よししげ）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将で、常陸国（現在の茨城県）を拠点とした戦国大名です。佐竹氏の第18代当主として、その勢力を拡大し、関東地方における有力な戦国大名の一人となりました。

生涯

家督相続

天文16年（1547年）、佐竹氏第17代当主・佐竹義昭の嫡男として誕生しました。永禄5年（1562年）に父・義昭が隠居したため、家督を継いで第18代当主となりました。当初は父・義昭の影響力が強く残っていましたが、永禄8年（1565年）の父の死後、佐竹氏の勢力拡大を目指して積極的に活動を開始します。永禄7年（1564年）には、越後の上杉謙信と協力して小田氏治を破るなど、武将としての才能を示しました。

勢力拡大

義重は、上杉謙信との連携をさらに強め、周辺の小田氏、武茂氏、白河氏といった勢力を次々と制圧していきました。特に永禄12年（1569年）の手這坂の戦いでは、小田氏治に大勝し、小田城を奪取するなど、その勢力を拡大しました。

しかし、相模国の北条氏政が勢力を拡大すると、関東の諸大名は北条氏との対立を深めます。義重は、蘆名盛氏、結城晴朝らと同盟を結び、北条氏に対抗しました。また、縁戚関係を利用して岩城氏を傘下に収め、那須氏とも和睦するなど、勢力を拡大しました。天正3年（1575年）には、白河城を奪取するなど、その勢いは頂点に達しました。

急速な勢力拡大は、周辺諸大名の警戒を招き、北条氏政や蘆名盛氏らとの二正面作戦を強いられることになります。義重は、結城氏や宇都宮氏との同盟や、羽柴秀吉との連携を通じて、この危機を乗り越えようとしました。天正9年（1581年）には、蘆名氏との同盟を締結し、伊達氏よりも南側の地域を事実上、佐竹氏の勢力下に置きました。この頃、義重は自らを「奥州一統」と自負するようになります。

しかし、天正13年（1585年）には、下野国に進出した北条軍の反攻にあい、長沼城を奪われ、不利な状況での和睦を余儀なくされました。

伊達政宗との抗争

蘆名氏の家督問題に介入し、伊達氏との対立が深まりました。天正13年（1585年）には、伊達政宗との間で人取橋の戦いが起こりました。戦いは佐竹軍が優勢に進めていたものの、常陸国内で不穏な動きがあったため撤退を余儀なくされました。この戦いは、政宗が生涯で最も大きな戦いだったと語ったとされています。

その後、天正16年（1588年）には、再び政宗と戦いますが、連合軍の結束が乱れ、和睦せざるを得なくなりました。天正17年（1589年）には、蘆名氏が伊達氏に大敗し、佐竹氏は北条氏と伊達氏という二大勢力に挟まれる状況となりました。同年、義重は家督を長男の義宣に譲り隠居しましたが、実権は依然として握っていました。

豊臣政権下

天正18年（1590年）、豊臣秀吉の小田原征伐に参加し、秀吉から常陸国54万石の支配権を認められました。その後、常陸国内の勢力を一掃し、統一を成し遂げました。

関ヶ原の戦いから最期

関ヶ原の戦いでは、義宣が西軍につこうとしたのに対し、義重は東軍につくように主張し、父子で対立しました。最終的に、佐竹氏は出羽国久保田へ減封となりましたが、義重の嘆願により改易は免れました。

久保田移転後は、六郷城に居を構え、所領南部の見張りを担当しました。慶長17年（1612年）に、狩猟中に落馬し死去しました。享年66歳。

人物・逸話

義重は、智勇に優れた武将として知られています。その勇猛さから「鬼義重」という異名で恐れられました。また、就寝時に敷布団を使わないという逸話や、名刀を愛でたという話も残っています。

家臣

佐竹義久

関連作品

小説

近衛龍春『佐竹義重 伊達も北条も怖れた常陸の戦国大名』（PHP文庫、2005年）
志木沢郁『佐竹義重・義宣 伊達政宗と覇を競った関東の名族』（学研M文庫、2011年）
簑輪諒『でれすけ』（徳間書店、2017年）
今村翔吾『鬼の生涯』（『戦国武将伝 東日本編』収録、PHP研究所、2023年）

参考文献

垣内和孝『伊達政宗と南奥の戦国時代』吉川弘文館、2017年。

外部リンク

* 佐竹義重起請文　市指定有形文化財・古文書 | 大田原市

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