佐紀盾列古墳群

佐紀盾列古墳群

佐紀盾列古墳群（さきたてなみこふんぐん）は、奈良市北西部の佐紀地区に位置する古墳群です。佐保川西岸の奈良丘陵南西斜面に広がっており、古墳時代前期後半から中期（4世紀末～5世紀前半）にかけて築造されました。この古墳群は、ヤマト政権の王墓が多く含まれていると考えられており、当時の政治・文化を知る上で重要な遺跡として知られています。

概要

佐紀盾列古墳群の特徴は、200メートルを超える巨大な前方後円墳が多数存在することです。前期後半には3基、中期には4基の巨大古墳が築かれました。これらの古墳は、初期ヤマト政権の王墓である可能性が高いとされています。5世紀初頭に纏向古墳群や大和・柳本古墳群が衰退した後、佐紀盾列古墳群がヤマト政権の重要な拠点となり、巨大な前方後円墳が築造されるようになりました。しかし、中期末の5世紀後半から末葉にかけて、佐紀盾列古墳群の勢力は弱小化していきました。

古墳の形状としては、撥形の前方部を持つものがほとんど見られなくなっていることが特徴です。

名前の由来

古墳群の名前は、代表的な大型古墳である五社神古墳と佐紀石塚山古墳の治定陵墓名が、ともに「狭城楯列陵」であったことに由来します。「盾列」という言葉は、周濠の形が盾型をしており、それらが北側に後円部、南側に前方部という位置で東西一直線に並んでいる様子を表していると考えられています。この言葉は、平城遷都後に定着した新しい言葉であると推定されています。

主な古墳

佐紀盾列古墳群には、以下のような古墳が含まれています。

五社神古墳：全長276メートルの前方後円墳。神功皇后の陵墓として治定されています。
佐紀石塚山古墳：全長220メートルの前方後円墳。成務天皇の陵墓として治定されています。
佐紀陵山古墳：全長210メートルの前方後円墳。垂仁天皇妃・日葉酢媛の陵墓として治定されています。
市庭古墳：全長250メートルの中期古墳。平城天皇の陵墓として治定されています。
ヒシアゲ古墳：全長218メートルの中期古墳。磐之媛の陵墓として治定されています。
ウワナベ古墳：全長265メートルの中期古墳。
塩塚古墳：全長109メートルの中規模古墳。

関連古墳

宝来山古墳は、佐紀の地に含まれないものの、垂仁天皇の陵墓として宮内庁が管理しており、佐紀盾列古墳群に含めて総称されることがあります。

まとめ

佐紀盾列古墳群は、ヤマト政権の成立と発展を考える上で重要な古墳群です。巨大な前方後円墳の存在は、当時の政治権力の大きさを物語っています。これらの古墳は、日本の古代史を研究する上で貴重な資料となっています。

外部リンク

佐紀古墳群と松林苑 - 奈良県立橿原考古学研究所：奈良県遺跡散歩
* 奈良県立橿原考古学研究所 友史会2005年2月例会「佐紀古墳群を歩く」

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