佐藤成次

佐藤成次（さとう なりつぐ）

佐藤成次（1599年 - 1675年）は、江戸時代初期の旗本であり、伊深佐藤氏の二代目当主です。幼名は吉次といい、法名は宗智と称しました。徳川家康に仕え、大坂の陣では小姓として従軍し、後に書院番となりました。

生涯

1614年、徳川家康に謁見し、大坂の陣に小姓として従軍。その後、書院番に移りました。1634年、父・佐藤継成の跡を継ぎ、旗本寄合席として伊深陣屋の主となりました。

伊深領主として、関山国師の遺跡を復興し、伊深正眼寺を中興した功績は特筆されます。正眼寺には、成次の木像「佐藤吉次公坐像」が現在も保存されています。1658年、豊前中津の僧・太極唯一が関山山の遺蹟を訪れた際、寺の建立を決意。禅徳寺の玄興と協力し、成次に寺の建立を願い出ました。成次は1669年、関山山の伽藍建立のために、領内の山林の竹木を自由に伐採することを許可し、敷地と用材を寄進しました。

また、成次は寺社や道路の修繕にも尽力しました。1639年には下総国舟橋において御殿の修理奉行を務め、1645年には日光山諸堂社の修造奉行、1655年には駿河国薩埵山の道路の普請奉行を務めました。1670年には従五位下駿河守に叙任されました。

晩年は職を辞し、旗本寄合席に列し、1675年に77歳で亡くなりました。遺言により、遺骸は美濃国加茂郡伊深村の正眼寺裏山に葬られました。法名は了心院殿月皎宗智大居士です。

成次は、日光輪王寺の大猷院における徳川家光の霊廟建設の際にも普請奉行を務めました。彼の死後、1677年に息子の佐藤続成が父の三回忌に際し、日光での普請の残りの用材を伊深に運び、正眼寺の山中に成次の霊屋を建立しました。伝えられるところによれば、残材とは名ばかりで、実際には良質な材木をわざと傷つけて残材として運び込み、2年を費やして堅牢で美しい霊屋を完成させたとされています。この霊屋の建設には村の農民が動員され、その賦役が後に天和義民事件の一因となったとされています。現在、正眼寺の本堂左の山中に墓と霊屋があり、宝蔵には佐藤家ゆかりの甲冑や古文書が収蔵されています。

知行所

佐藤成次の主な知行所は以下の通りです。

美濃国 加茂郡 伊深村 1300石
摂津国 武庫郡 守部村 511石9升1合309、西武庫村 192石1斗6升4合993、常吉村 14石3斗9升
大和国 十市郡 西宮村 100石2斗7升9合999、新木村 189石4斗4升9合997、豊田村 438石5斗3升8合605、中村 293石6斗7升8合986
近江国 高島郡

関連項目

加治田衆
伊深佐藤氏

参考文献

『美濃加茂市史 通史編』 美濃加茂市、1980年
『高島郡誌』 滋賀県高島郡教育会、昭和2年
『佐藤氏系譜』

外部リンク

正眼寺（美濃加茂市）
正眼寺
正眼寺・正眼僧堂(しょうげんそうどう)
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