加治田衆

加治田衆とは

加治田衆（かじたしゅう）は、戦国時代から江戸時代にかけて、美濃国加茂郡加治田城（現在の岐阜県加茂郡富加町）とその城下町に居住した武士たちの総称です。加治田勢、加治田方、加治田軍、加治田方面、加治田（勝田）とも呼ばれます。

戦国時代

佐藤氏の時代

永禄8年（1565年）、加治田城主であった佐藤忠能は、織田信長の美濃侵攻に際して信長に味方しました。しかし、佐藤忠能の子である佐藤忠康は、関城主・長井道利との合戦で討ち死にしてしまいます。その後、信長の命により斎藤利治が養子となり、加治田城主となりました。

佐藤忠能の家臣には、佐藤忠康、佐藤能信、佐藤昌信、長沼三徳、西村治郎兵衛、湯浅新六、白江権左衛門、梅村良澤、梅村左平治、小森半平、清水九郎兵衛、吉田弥三、田中七郎右衛門などがいました。

斎藤氏の時代

斎藤利治は、加治田城主となると、兄の斎藤利堯を留守居に任命しました。その後、斎藤利治の子である蓮与、斎藤義興、斎藤市郎左衛門が加治田城で生まれました。

天正10年（1582年）の本能寺の変で、織田信忠と斎藤利治が討ち死にすると、斎藤利堯は岐阜城を接収しました。その後、羽柴秀吉と織田信孝が明智光秀を討ち、美濃へ向かうと、利堯は国衆の人質を連れて引き渡しました。

清洲会議により美濃一国が織田信孝に与えられると、利堯はその家老となり加治田城主となりましたが、森長可によって加治田城を攻められます。利堯はその後、織田信孝から離れ、最終的には誰にも仕えなかったと伝えられています。斎藤利堯の死後、加治田衆は離散し、浪人や他家に仕官しました。

斎藤利治の家臣には、斎藤利堯、蓮与、斎藤義興、斎藤市郎左衛門、佐藤信則、佐藤堅忠、佐藤昌信、長沼三徳、長沼藤治兵衛、西村治郎兵衛、湯浅新六、白江権左衛門、梅村良澤、梅村左平治、小森半平、清水九郎兵衛、吉田弥三、田中七郎右衛門、大嶋光義、大嶋光成、大嶋光政、大嶋光俊、大嶋光朝、井戸宇右衛門、平井信正、平井綱正などがいました。

安土桃山時代

森氏の時代

森家は、加治田の武将軍団を「加治田衆」と呼んでいました。加治田城は廃城となりましたが、加治田衆は、森氏、丹羽氏、織田氏、豊臣氏、徳川氏、池田氏、松平氏などに仕官し、各地で活躍しました。

森長可の家臣には、佐藤堅忠、白江権左衛門、梅村左平治、岸新右衛門などがいました。

織田氏の時代

1593年、豊臣秀勝の死後、織田秀信が美濃国を継承しました。斎藤元忠と斎藤徳元は信秀に仕え、墨俣城主となると同時に加治田全域を代官として掌握しました。

加治田城衣丸では、西村治郎兵衛と長沼三徳が斎藤利治の遺児である斎藤義興と斎藤市郎左衛門を養育し、元服後、三徳の勧めにより、義興と市郎左衛門は秀信に仕えました。また、三徳も村役人として秀信に仕えました。

関ヶ原の戦いの七曲の戦いで、三徳は斎藤兄弟の盾となり戦死しました。戦後、元忠は秀信に付き従い、高野山で隠棲。徳元は加治田から江戸に出て和歌の教授者となり、一族の春日局と交流しました。義興は、関市梅竜寺で養生後、池田輝政に召し抱えられ、斎藤道三の血筋として高禄で召し抱えられました。市郎左衛門は後に松平直基に仕えました。

織田秀信の家臣には、斎藤元忠、斎藤徳元、斎藤義興、斎藤市郎左衛門、長沼三徳などがいました。

大嶋氏の時代

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いにおいて、大嶋光義は東軍に属し武功を挙げました。戦後、徳川家康より加治田村、絹丸村など1万8000石を加増され、大名となり関藩を立藩しました。光義の死後、所領は、大嶋光成（絹丸村）、大嶋光政（加治田村）に分知されました。

大嶋光義の家臣には、大嶋光政、大嶋光成、大嶋光俊、大嶋光朝などがいました。

江戸時代

加治田領は、戦国時代には城下町・駅馬郷・東西南北の街道として発展し、徳川幕府においては宿場町や霊場・文化の中心となりました。

加治田衆の多くの一族が、富加町内外において現代まで続いています。

加治田衆の末裔とされる人物には、以下のような人々がいます。

野武士の梶田直繁（加治田隼人佐）、梶田繁政
速水氏（斎藤利治の娘・蓮与の子孫）
美濃斎藤氏（東京帝国大学教授・斎藤清太郎の末裔）
板津氏（白江氏の子孫、富加町長の板津德次など）
加治田大嶋氏
中之元西尾氏
佐藤氏

加治田衆のその後

加治田衆は、戦国時代から江戸時代にかけて、様々な形で歴史に関わってきました。彼らは、武将として戦場で活躍しただけでなく、文化や学問の世界でもその名を残しています。加治田衆は、加治田の地を離れた後も、それぞれの場所でその血脈を受け継ぎ、現代まで続いています。

参考文献

『富加町史 上巻 史料編』富加町史編集委員会、1980年
『富加町史 下巻 通史編』富加町史編集委員会、1980年
「織田信長の東美濃攻略歴史PRマンガ」夕雲の城、富加町教育委員会
「とみかの文化財」富加町文化財審議会、2010年

関連項目

美濃斎藤氏
佐藤氏（岸氏）
長沼氏
西村氏(天池氏)
井戸氏
白江氏（板津氏）
大嶋氏
梅村氏
湯浅氏
速水氏
平井氏
西尾氏
梶田氏（加治田氏）

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