佐野信義

佐野 信義（さの のぶよし）

1969年1月19日生まれ。ゲームミュージック作曲家として、佐野 電磁（さの でんじ）やsanodgといった別名義でも幅広く知られています。

そのキャリアは1992年、当時ナムコ（現バンダイナムコエンターテインメント）のサウンドチームに参加したことから始まりました。ナムコ時代には、アーケードレースゲームの金字塔である『リッジレーサー』シリーズや、対戦格闘ゲームの代表作『鉄拳』シリーズなど、同社の看板タイトルのサウンドを数多く手がけ、その名を確立しました。特に、アーケードゲーム基板の限られた音源や発音数の制約の中で、緻密なサウンド表現を追求する技術力の高さは特筆されます。『リッジレーサー』初期の楽曲「Grip」では、エフェクターが搭載されていない環境下で、22チャンネル全ての音源を駆使して擬似的なディレイ効果を生み出すなど、当時の技術的困難を克服する革新的なアプローチを見せています。こうした1990年代の厳しい制作環境で培われた高度な技術力は、その後の多様な音楽制作においても存分に活かされています。

2001年には株式会社キャビアに移籍し、ゲーム開発にとどまらず、音楽ソフトウェア『KORG DS-10』のプロデュースなど、活動の幅を広げました。さらに2010年には、著名なゲーム音楽作曲家である光田康典氏と共にDETUNEを設立し、同社の代表取締役として経営にも携わっています。

ゲーム音楽制作と並行して、様々な音楽ユニットやサークルでの活動も積極的に行っています。1996年には、細江慎治氏らと共にYMOへのオマージュを込めたパロディバンド『OMY』を結成し、メジャーデビューを果たしました。また、佐宗綾子氏らとのテクノポップユニット『まにきゅあ団』や、同人音楽サークルnanosoundsでも精力的に音楽を発表しています。近年では、タイトーの音楽ゲーム『グルーヴコースター』への楽曲提供をきっかけに、株式会社ノイジークロークの加藤浩義氏とEDMユニットSATOを結成し、新たなサウンドを追求しています。

音楽活動以外では、ラジオパーソナリティとしても活躍しています。2012年から約3年間、CBCラジオで自身の冠番組『電磁マシマシ』のメインパーソナリティを務め、リスナーとの交流を深めました。また、FM西東京の番組『You got チャンネルα』でも定期的に出演するなど、親しみやすい人柄でファンを魅了しています。

これまでに携わった主な作品は以下の通りです。

アーケードゲーム:
リッジレーサー（1993）
鉄拳2（1995）
ゼビウス3D/G|ゼビウス3D_G（1996）
鉄拳タッグトーナメント（1999）
GROOVE COASTER 2 HEAVENLY FESTIVAL (SATO名義)（2015）

コンシューマゲーム:
ゼビウス3D/G|ゼビウス3D_G+（PS, 1997）
リッジレーサーV（PS2, 2000）
ドラッグオンドラグーン（PS2, 2003）
KORG DS-10（DS, 2008）
ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて（PS4/3DS, 2017）

ソロ/ユニットアルバム:
sanodg works（2006）
Gradation（2012）
Sanodg's Drawings for 23 minutes at an Exhibition 1-2-3（2014）
佐野電磁アーケードゲーム音楽作品集（2014）
電磁マシマCD（2013）

ゲーム音楽の黎明期から、独自の技術と表現力で業界を牽引し、今なお様々な分野で創造的な活動を続ける稀有なアーティストです。

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