使番

使番（つかいばん）とは

使番とは、江戸幕府および諸藩に置かれた役職の名称です。古くは「使役（つかいやく）」とも呼ばれていました。その起源は戦国時代に遡り、戦場における伝令、監察、敵軍への使者といった役割を担ったことに由来します。この役職が、江戸幕府や諸藩にそのまま継承される形で成立しました。

江戸幕府における使番

江戸幕府における使番は、若年寄の支配下に属し、役料は500石、役高は1,000石、布衣格、菊之間南際襖際詰という格式でした。元和3年（1617年）に制度として確立されました。島原の乱以降、大規模な戦乱が減少したため、目付とともに遠国奉行や代官など、遠方で職務を行う幕府官吏に対する監察業務が主な任務となりました。

具体的な職務内容としては、以下のものが挙げられます。

国目付・諸国巡見使としての派遣: 幕府の命を受け、諸国の状況を視察・報告する。
二条城・大坂城・駿府城・甲府城などの幕府役人の監督: 重要な城に配置された幕府役人の職務を監督する。
* 江戸市中火災時における大名火消・定火消の監督: 江戸で火災が発生した際、大名火消や定火消の消火活動を監督する。

使番の定員は、元和期には28名（25名説あり）でしたが、その後徐々に増員され、文化年間には50名前後、幕末期には急増し最大で112名に達しました。人員増加に伴い、慶応2年（1866年）には定員を半分の56名に削減し、翌年には役料を1,000石以上の者には金500両、以下の者にはその半分の金を与えるように改められました。

大奥における御使番

なお、大奥には、これとは別に「御使番」という役職が設置されていました。御台所や大奥の上臈と役人との連絡を取り持つ役割を担っていました。

このように、使番は江戸幕府において、監察、監督、連絡など、多岐にわたる重要な役割を果たした役職でした。

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