保坂正紀

保坂 正紀

1958年1月17日、山梨県甲府市に生まれた保坂正紀（ほさか まさき）氏は、テレビ朝日の元アナウンサーであり、後に社員として様々な部署でキャリアを積みました。特にプロレスファンにとっては、1980年代に絶大な人気を誇ったテレビ番組『ワールドプロレスリング』での実況担当として、その名を知られています。

幼い頃から放送の世界に興味を持っていたようで、小学生時代には既に放送部員として活動していました。その熱意は高校時代にも続き、地元山梨県の放送局である山梨放送ラジオの番組、「たむたむたいむ」や「Midnight in 801」ではレギュラーとして出演する経験も積んでいます。大学は法政大学社会学部で学び、並行してアナウンス専門学校に通い、本格的なスキルを磨きました。

大学卒業後の1980年、テレビ朝日に入社。同期には後に様々な番組で活躍する松苗慎一郎氏がいました。入社後は、ニュース、スポーツ、バラエティーと幅広いジャンルの番組でアナウンサーとして活躍しました。多方面でその能力を発揮しましたが、やはり彼の名前を語る上で欠かせないのは『ワールドプロレスリング』における実況です。

1980年代、プロレスがゴールデンタイムで放送され、社会現象となるほどの人気を博していた時代、保坂氏は多くの名勝負、中でも初代タイガーマスクの伝説的な試合の数々でマイクを握りました。彼独特の実況スタイルは、「タメ」を作ることに特徴がありました。これは、リング上で繰り広げられるダイナミックな技の攻防に合わせて一瞬の間を置き、その後に言葉を乗せることで、視聴者に技の重みや選手の動きをじっくりと感じてもらいたい、という彼の哲学に基づいたものでした。このスタイルは、当時同じ番組で人気実況を務め、間をほとんど置かずに畳み掛けるような実況を得意とした古舘伊知郎氏のスタイルとは対照的であり、それぞれの個性が番組に深みを与えていました。

古舘氏が番組を離れた後、1987年4月に番組が『ギブUPまで待てない!!ワールドプロレスリング』としてリニューアルされた際、保坂氏はおよそ1年間にわたりメイン実況として番組を牽引しました。プロレスファンにとって、彼の落ち着きがありながらも要所要所で熱量を込める実況は、今なお記憶に残るものとなっています。

1999年、アナウンス部から広報局への異動に伴い、アナウンス職を離れることになりました。広報局には、やはりアナウンス部から異動した川北桃子氏も在籍していました。その後もテレビ朝日社員としてキャリアを継続し、2006年には所属が広報部のまま、かつてメインの舞台だった『ワールドプロレスリング』のオープニング・エンディングで提供ナレーションを担当するという形で、再び番組に関わりました。2010年時点では、報道局のニュース情報センターに異動し、部長待遇の芸能文化デスクという立場で活躍していました。

2018年に定年を迎えましたが、その後も引き続きテレビ朝日に勤務。そして2023年、嘱託契約期間の満了に伴い、テレビ朝日を退職しました。

退職後もその経験を買われ、ラジオ番組にゲストとして出演するなど、マスメディアとの関わりは続いています。長きにわたりアナウンサーとして、そしてテレビ朝日の社員として多様なキャリアを歩んだ保坂正紀氏。特にプロレス実況者としての功績は、多くのファンに語り継がれています。

主な担当番組

高校生時代

たむたむたいむ（山梨放送ラジオ）

テレビ朝日入社後

ANNスポーツニュース
ワールドプロレスリング
歌謡ドッキリ大放送!!
（欽ちゃんの）どこまで笑うの?!
番組対抗Qイズ謎語
ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャーこれができたら100万円!!
紺野美沙子の科学館
火曜ミステリー劇場「超高層ホテル殺人事件」

テレビ朝日退社後

真夜中のハーリー&レイス（ラジオ日本） - 2023年2月5日放送分ゲスト
* はみだし しゃべくりラジオ キックス（山梨放送ラジオ） - 2023年2月7日放送分ゲスト

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