保守本流

保守本流について

保守本流（ほしゅほんりゅう）とは、日本の自由民主党内での派閥の一つであり、吉田茂が率いた旧自由党の流れをくむ勢力を指します。この派閥は、1960年代以降長い間、自由民主党内で主流を占めており、そのため「保守本流」と呼ばれるようになりました。

歴史的背景

保守本流は、特に官僚出身者たちである池田勇人や佐藤栄作の影響を受けた、いわゆる「吉田学校」とも結びついています。1955年に行われた保守党の合同によって自由民主党が結成されると、鳩山一郎、岸信介、河野一郎などがこの派閥に加わり、党内の主導権を握りました。この時期、政策面では日米安全保障条約や軽軍備を基盤とし、経済成長を重視する潮流が強まりました。

政治的影響力

自由民主党内では、池田派（宏池会）や佐藤派（周山会）などの内部競争を経て、田中角栄が中心となる田中派が形成されます。特に田中内閣の時代には、「列島改造」という大規模な公共事業が進められ、経済成長を牽引しました。しかし、政治的な腐敗や金権政治に対する厳しい批判が高まる中で、田中派はロッキード事件を契機に大きく揺らぎます。

1980年代には、中曽根内閣下で新保守主義の影響が強まり、これが保守本流の姿勢に変化をもたらしました。中曽根政権のもとで、国鉄などの民営化が進められましたが、田中派内の若手が竹下登を中心に新たな政治の流れを創出しました。竹下内閣では消費税導入が実現し、政治不信が国民の間で広まります。

現代の変遷

1990年代以降、経済バブル崩壊の影響で保守本流の影響力は次第に低下し、特に竹下派と清和会との抗争が見られました。新自由主義の流れが強まる中で、派閥の役割も変化し、政治の混乱が続きます。また、保守本流から離脱した議員が新たな政治塊を形成することで、さらなる分裂が進みました。

2020年代には、保守傍流である清和会が党内での数を増やし、その影響力が増しています。これに伴い、かつての保守本流は形骸化し、「保守傍流」としての清和会が党の中心となっている状況です。また、派閥間の関係にも注目が集まるようになりました。

烈しい派閥争い

保守本流とその傍流との間には、いまだに派閥争いが残っており、特に政策の方向性や党内の権力闘争が顕在化しています。今後も、保守本流の復権や再編を求める動きが続くとみられています。

結論

保守本流は、日本の戦後政治において大きな役割を果たしてきた派閥の一つであり、その歴史的な影響力は今後も研究されるべき重要なテーマです。経済成長や外交の形において、彼らが果たした役割は、日本社会の変遷と共に読み解くべき重要な要素であると言えるでしょう。

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