保安州 (河北省)

保安州は、中国史において、現在の河北省張家口市南東部に位置した行政区画です。その歴史は唐代に遡り、元代から民国初年にかけて、その形態と名称を変えながら存続しました。

唐代から遼代

822年（唐の長慶2年）、この地域には新州が設置されました。新州は河北道に属し、永興、礬山、竜門、懐安の4県を管轄しました。しかし、この新州は924年（後唐の同光2年）に威塞軍と改称されます。

さらに、936年（遼の天顕11年）には、威塞軍が奉聖州と名称を変え、西京道に属するようになりました。この時、奉聖州は永興、礬山、望雲、竜門の4県を管轄しました。

金代から元代

1209年（金の太安元年）、奉聖州は徳興府へと昇格し、西京路に属するようになりました。この昇格に伴い、管轄する県も増え、徳興、礬山、嬀川、縉山、望雲、竜門の6県を抱えることとなりました。

しかし、1266年（元の至元3年）、徳興府は奉聖州に降格しました。さらに、1337年（元の後至元3年）には、奉聖州は保安州と改称されました。保安州は宣徳府に属し、永興県1県のみを管轄するようになりました。

明代

1368年（明の洪武元年）、保安州は一時的に廃止されましたが、1404年（永楽2年）に保安衛が設置され、この地域に再び軍事的な行政区画が置かれました。1415年（永楽13年）には、保安衛に保安州が再設置され、行政機能も復活しました。そして1420年（永楽18年）、保安州は直隷州に昇格し、北直隷に属するようになりました。

清代から民国

清代に入ると、保安州は宣化府に属する散州となり、属県を持たない状態となりました。そして1912年、中華民国が成立すると、保安州は廃止され、保安県と改称されました。その後、1916年には保安県は涿鹿県と改名され、この地における保安の名称は歴史の中に消えることとなりました。

このように、保安州は唐代から民国初期にかけて、名称や管轄地域を変えながらも、この地域における重要な行政区画として存在し続けました。その変遷は、中国の歴史における行政区画の変遷を映し出す鏡とも言えるでしょう。

もう一度検索