保暦間記

保暦間記（ほうりゃくかんき）

『保暦間記』は、日本の中世、特に南北朝時代に成立した歴史書であり、その成立時期は14世紀の半ば、すなわち延文元年（1356年）以前とされています。本書の作者は不詳ですが、南北朝時代の足利方の武士であると考えられています。この歴史書は、鎌倉時代後半から南北朝時代前期に至るまでの出来事を記述しており、特に『吾妻鏡』の記載が終了した文永3年（1266年）以降の鎌倉時代の歴史を探るための重要な資料となっています。

書名の由来

『保暦間記』の書名は、保元元年（1156年）の保元の乱から始まり、暦応2年（1339年）に後醍醐天皇が崩御するまでの期間に関連しています。これらの歴史的な出来事の概略を記していることから、これらの年号が書名に反映されています。特に、鎌倉時代の事件についての記述が豊富であり、現在広く使用されている事件の名称の多くは、本書から取られています。

鎌倉時代の重要な事件

『保暦間記』では、以下のような鎌倉時代に起きた重要な事件が記されています。

• - 和田合戦
• - 承久の乱
• - 宝治合戦
• - 二月騒動
• - 霜月騒動

これらの出来事は、日本史における重要な転換点を形成しており、地域や権力の変化を理解するための鍵となります。これらの事件を通じて、本書が持つ歴史的な価値が明らかになります。

源頼朝の死

本書の特筆すべき内容の一つには、源頼朝の死についての記録があります。これは建久10年（1199年）に起こりました。伝えられるところによれば、相模川橋供養の帰り道、八的ヶ原で源義経などの亡霊を見たとされ、さらに稲村ヶ崎の海上で安徳天皇の亡霊を見るという神秘的な描写がなされています。この出来事により、頼朝は鎌倉に戻ってから気を失い、病に倒れたと記述されています。しかし、実際の死因については異なる説が存在しています。

まとめ

『保暦間記』は、南北朝時代における日本の歴史を理解する上で欠かせない資料であり、鎌倉時代の出来事や人物に対する重要な視点を提供しています。特に、特定の事件や人物に関する詳細な情報が提供されることで、歴史的背景を深く掘り下げる手助けをします。このように、本書は後の時代にも影響を与え続ける貴重な歴史的資源として位置づけられています。

参考文献

• - 経済雑誌社 編「保暦間記」『群書類従』 17巻、経済雑誌社、1894年、707–771頁。
• - 佐伯真一・高木浩明編著『校本保暦間記』（和泉書院、1999年）

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