信南交通

信南交通株式会社：南信地方を走るバス事業者

信南交通株式会社は、長野県飯田市に本社を置くバス会社です。南信地方において、一般路線バスと高速バスの運行を主な事業として展開しています。

高速バスが支える経営

同社の事業の柱は高速バスです。東京や名古屋方面への路線を運行しており、特に中央高速バス新宿線は、同社の経営を大きく変えた重要な路線として知られています。1980年代前半、信南交通は赤字経営に苦しんでいましたが、中央高速バス新宿線の運行開始を機に、翌年には単年度黒字を達成しました。この成功により、「高速バスに救われたバス事業者」として注目を集めるようになりました。

しかし、2000年代半ば以降は、規制緩和によるツアーバスの台頭や、コロナ禍の影響を受け、高速バス路線の収益は減少傾向にあります。信南交通も例外ではなく、厳しい経営環境に直面しています。

一般路線バスの変遷

一般路線バスについては、2010年4月に自主運行路線をすべて廃止し、現在では南信州地域交通問題協議会の委託を受けて、広域バスとコミュニティバス（飯田市民バス、喬木村民バス）の運行に特化しています。かつては飯田市街から郊外の各町村を結ぶ路線網を有していましたが、マイカー利用の増加による利用者減を背景に、路線の整理やコミュニティバスへの移管を進めてきました。近年は、高齢化社会の進展や商業地・医療施設へのアクセス向上といった社会情勢の変化に対応し、新たな路線や系統の開設を進めています。

天竜舟下りからの撤退

信南交通は、天竜舟下りの運営会社でもありましたが、コロナ禍の影響により、2022年1月11日に天竜舟下り事業からの撤退を発表しました。

歴史と発展

信南交通は1945年（昭和20年）、戦時統合によって複数のバス会社が合併して設立されました。その後、地域的な再編を経て、現在の規模となりました。1950年（昭和25年）には飯田―長野間、1952年（昭和27年）には飯田―名古屋間の定期バス路線を運行開始するなど、地域公共交通の担い手として長い歴史を刻んできました。その後も、高速道路の開通などに合わせ、高速バス路線の拡充や増便、路線の改編を繰り返し、現在の路線網を形成しています。

運行路線

信南交通は、高速バスとして名古屋線、新宿線、長野線を運行しています。これらの路線は、他社との共同運行となっています。また、路線バスは飯田市民バス、喬木村民バスなどのコミュニティバス、広域バスなどを運行し、地域住民の足として重要な役割を果たしています。さらに、定期観光バスなども運行しています。過去には、多くの路線が運行されていましたが、利用者の減少などを理由に廃止された路線も多いです。

車両

信南交通では、現在、三菱ふそう製の車両が中心ですが、日野自動車製の車両も一部導入されています。過去には、日野自動車製センターアンダーフロアバスなど、珍しい車両も保有していました。

発券所

信南交通では、飯田駅前、伊賀良、昼神温泉に発券所を置いています。

まとめ

信南交通は、高速バスと一般路線バスの運行を通して、南信地方の地域社会に貢献している会社です。厳しい経営環境の中、時代の変化に対応しながら、地域公共交通の維持・発展に努めています。今後の動向に注目が集まります。

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