信濃中村藩

信濃中村藩

信濃中村藩（しなのなかむらはん）は、現在の長野県下高井郡木島平村にあたる、信濃国高井郡中村の地に存在した藩です。現在の長野県北部に位置する川中島四郡の一部であったことから、川中島藩とも称されました。藩主家は岩城氏で、外様大名として位置づけられました。

藩史

藩の創設者である岩城貞隆は、戦国時代の名将として知られる佐竹義重の三男であり、「鬼義重」と呼ばれた父や、常陸国の太守として名高い佐竹義宣の弟にあたります。貞隆は岩城常隆の養子となり、岩城家の家督を継承しました。当初、貞隆は磐城国平において12万石の広大な所領を認められていました。

しかし、慶長5年（1600年）に勃発した関ヶ原の戦いにおいて、貞隆は兄義宣とともに東西どちらにも属さないという曖昧な態度を取ったことが、新たな天下人となった徳川家康の不興を買いました。その結果、慶長7年（1602年）、徳川家康によってそれまでの所領を没収されることとなります。

領地を失った貞隆ですが、慶長19年（1614年）から始まった大坂の陣において、江戸幕府の重臣である本多正信の部隊に加わり、戦功を立てました。この時の功績が認められ、元和2年（1616年）7月、改易された松平忠輝の旧領の一部である信濃国中村において、新たに1万石を与えられて藩を興すこととなりました。これが信濃中村藩の始まりです。

元和6年（1620年）10月、初代藩主である岩城貞隆が死去しました。家督は長男の岩城吉隆が継承します。吉隆の代となった元和8年（1622年）、彼は出羽国由利郡内でも1万石を加増され、これにより岩城家は合計2万石の大名となりました。

しかし、信濃中村藩の歴史は短命に終わります。吉隆は加増を受けた翌年、元和9年（1623年）、本拠地を出羽国亀田に移すことを決めました。これに伴い、それまで領地としていた信濃中村の采地は出羽国内の替地とされました。これにより、岩城家は出羽国亀田藩主となり、信濃中村藩はわずか7年余りでその役目を終え、廃藩となりました。

岩城家はその後、出羽亀田藩2万石の藩主として存続し、明治維新を迎えるまで続きました。なお、第2代藩主であった岩城吉隆は、後に実家である佐竹家に戻り、佐竹義隆として兄である久保田藩主佐竹義宣の養子となり、秋田久保田藩の第2代藩主となっています。

歴代藩主

岩城家（外様）
石高：1万石 → 2万石

岩城貞隆
岩城吉隆

もう一度検索