岩城貞隆

岩城貞隆

岩城貞隆（いわき さだたか）は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての大名です。佐竹義重の三男として生まれ、幼少の頃に岩城常隆の養子となり、岩城氏を継ぎました。伊達政宗、岩城常隆とは従兄弟にあたります。

生涯

天正11年（1583年）に佐竹義重の三男として生まれた貞隆は、天正18年（1590年）に岩城常隆が病死したため、その跡を継ぎました。豊臣秀吉からも岩城氏の家督相続を認められ、磐城平12万石を安堵されました。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、当初は東軍に味方しましたが、兄である佐竹義宣の命令により上杉景勝征伐には参加しませんでした。このため、戦後の慶長7年（1602年）に佐竹家は減封で済んだものの、貞隆は全ての所領を没収されてしまいます。

この不当な処分に憤慨した貞隆は、義宣に挙兵を促しますが、拒否されました。失意の中、貞隆は室の実家である相馬家が再興したことに希望を見出し、自らも岩城家再興を願い江戸に上り、浅草で浪人生活を送ります。再興運動に尽力し、飯野八幡宮に度々祈願を捧げました。領土没収により多くの家臣が離散する中、『岩城貞隆浅草御浪人中随身諸士名元覚』（1625年）に記された四十二士は、身を顧みず貞隆に随従しました。

その後、土井利勝の意向を受けた貞隆は、徳川家康に再興を嘆願した結果、本多正信の組となり、300人扶持を与えられました。慶長20年（1615年）の大坂夏の陣では、正信に従って従軍し、戦功を挙げたことで、元和2年（1616年）に信濃国中村に1万石を与えられ、大名として復帰を果たしました。また、貞隆の次兄・義広が当主であった蘆名氏の一族と伝えられる天海も、貞隆の再興を援助し斡旋したとされています。

関ヶ原の戦い後、不仲になっていた義宣とも実母の仲介により和解し、和解後は、義宣は資金面などで貞隆の御家再興を積極的に支援しました。元和6年（1620年）に38歳で死去しました。

岩城貞隆浅草御浪人中随身諸士名元覚の四十二士

寛永2年（1625年）に記された『岩城貞隆浅草御浪人中随身諸士名元覚』には、浅草浪人中の貞隆に随従した家臣、四十二士の名前が記されています。

好間兵部大輔、佐久間総右衛門、大館帯刀、高橋五郎右衛門、大塚内蔵頭、鵜沼主馬、服部監物、新妻久左衛門、中山采女、佐藤右近、加瀬太郎兵衛、古宇田新助、秋山采女、中山主殿、八嶋宮内、諸橋玄蕃、大館備前、駒木根茂兵衛、志賀八左衛門、小泉九郎左衛門、小河甲斐守、白土右馬助、鵜沼彦右衛門、戸嶋重右衛門、同九郎兵衛、同　右衛門、半田佐左衛門、塩　左馬助、大平新左衛門、駒木根七郎右衛門、田中蔵人、四倉下野、富岡伝七、白土孫七、鵜沼図書、白石又右衛門、大須賀織部、志賀内記、斎藤兵左衛門、長谷左門、三浦七兵衛、志賀太郎左衛門

系譜

父母

佐竹義重（実父）
宝寿院 ー 伊達晴宗の娘（実母）
岩城常隆（養父）

正室

相馬義胤の娘（正室）

子女

岩城吉隆（佐竹義隆）（長男） - 生母は正室
佐竹義直室
天教院 ー 黒田長興正室

脚注

出典

『藩翰譜』
『寛政重修諸家譜』（五百十二 岩城）
『伊達氏四代治家記録』
『恩栄録』（上）
『羽陰史略』（一）
『東武実録』（七 上）
『奥相茶話記』（平姓相馬氏御系図）

関連書籍

* 河合敦『関ヶ原敗者達の復活戦 負けてもなお生き残る人物とは』グラフ社、2009年、ISBN 4766212924

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