岩城常隆

岩城常隆：激動の時代を生きた若き武将

岩城常隆（いわき つねたか）は、安土桃山時代に生きた武将であり、岩城氏の17代目当主です。彼の生涯は、周囲の大名家との複雑な関係の中で、激動の時代を駆け抜けたものでした。

佐竹氏の影響下での当主就任

常隆の父である岩城親隆が病に倒れ意識不明となると、母・桂樹院とその兄である佐竹義重が後見人となり、岩城氏の実権は佐竹氏に握られることになりました。天正6年（1578年）に常隆が当主となりますが、佐竹氏の影響力は変わらず、彼はその影響下で家を治めることになります。

伊達氏との関係

常隆は当初、伊達氏と縁戚関係にあったため融和的な態度をとっていました。しかし、天正7年（1579年）に伊達輝宗が子・政宗の正室に、岩城氏と対立する田村氏の愛姫を迎えたことで、岩城氏は再び佐竹氏に接近します。その後、天正11年（1583年）には、佐竹義重や田村清顕と共に、伊達輝宗と相馬義胤の調停に奔走し、相馬方から丸森城を伊達方に返還させ和睦を成立させています。

伊達政宗との対立

天正12年（1584年）、伊達政宗が家督を継ぎ、積極的な勢力拡大策を始めると、常隆は蘆名義広や佐竹義重らと共に、伊達氏と度々対立するようになります。天正13年（1586年）の人取橋の戦いでは佐竹氏側で参戦し、家臣の窪田十郎が伊達氏の重臣である鬼庭良直を討ち取るという活躍を見せました。翌天正14年（1587年）には、伊達政宗が二本松城を攻めた際には、籠城を指揮する新城盛継の要請を受け、佐竹義重と共に援軍を派遣しています。

郡山合戦と中立への転換

天正16年（1588年）の郡山合戦では、蘆名義広や佐竹義重らと共に出陣し伊達方と対峙しますが、相馬義胤が田村氏領の併合を企図し三春城への入城を強行しようとした際に、常隆はかねてから田村氏と所領争いをしていたため、これに反発し中立の立場を取ります。その後、蘆名氏らに同調していた最上義光が撤退を開始すると、石川昭光と共に調停を行い、蘆名勢を撤退させています。

伊達氏との和睦

天正17年（1589年）にも伊達氏や田村氏領への侵攻の動きを見せますが、政宗は常隆を迎え撃つ途中で蘆名家臣の離反を知り方向転換、摺上原の戦いで蘆名氏を滅ぼします。これにより、石川氏は伊達氏に臣従し、岩城氏も和睦しました。

小田原征伐と病没

天正18年（1590年）、豊臣秀吉の小田原征伐に参陣したことで所領を安堵されますが、まもなく病に倒れ、鎌倉で24歳という若さで亡くなりました。

死後の岩城氏

常隆には政隆という実子がいましたが、幼少であったことや豊臣政権の都合により、佐竹義重の三男である貞隆が養嗣子として岩城氏を継承します。政隆は岩城領を追われ、祖父の実家である伊達氏に身を寄せました。その後、政隆は伊達姓に復し、仙台藩の一門である岩谷堂伊達家を興しました。また、その子孫の一人である隆恭が後に岩城氏に入嗣し、亀田藩主となっています。岩谷堂伊達家は明治期に岩城姓に復姓しました。


岩城常隆は、若くして亡くなったものの、激動の時代の中でその存在感を示し、その後の岩城氏に大きな影響を与えた人物として歴史に名を刻んでいます。

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