俵木悟

俵木 悟

俵木 悟（ひょうき さとる）は、1972年に生まれた日本の民俗学者です。現在、成城大学文芸学部の教授を務めており、神奈川大学の非常勤講師としても教鞭を執っています。彼の専門分野は、民俗芸能と文化財に広く及びます。

来歴

千葉県で生まれ育った俵木氏は、学究の道を駒澤大学から始めました。1994年に同学文学部を卒業後、さらなる学びを求め千葉大学大学院へ進みます。1996年には文学研究科行動科学専攻の博士課程前期を修了し、続いて1999年には社会文化科学研究科都市研究専攻の博士課程後期を修了しました。

大学院博士課程後期の修了と同年に、俵木氏は千葉大学より博士（学術）の学位を取得しています。彼の博士論文のテーマは「備中神楽の現代的位相に関する研究」であり、これは民俗芸能が現代社会においてどのように変化し、またどのような意味を持つのかを探求するものでした。この研究は、その後の彼の学術活動の基礎となる重要な位置を占めています。

学術的な基盤を固めた後、俵木氏は2002年に東京文化財研究所の研究員に着任します。ここでは、文化財に関する専門的な知識と経験を深めました。その後、2011年には成城大学文芸学部の准教授として大学教員としてのキャリアをスタートさせ、研究と教育の両面で活躍の場を移しました。そして2018年には、同学部の教授に昇任し、現在に至るまで後進の指導にあたりながら、民俗芸能や文化財に関する研究を精力的に続けています。

研究分野と業績

俵木氏の主要な研究テーマは、民俗芸能およびそれを文化財や無形文化遺産として捉える視点にあります。彼は、伝統的な民俗芸能が現代社会の様々な変化の中でどのように継承され、あるいは変容していくのか、そしてそれが文化財や無形文化遺産としてどのように位置づけられ、保護されていくべきかについて深く考察しています。特に、民俗芸能の「現代的位相」に焦点を当てた研究は、伝統文化と現代社会の関係性を理解する上で重要な視点を提供しています。

その研究成果は多くの著作として発表されています。単著としては、彼の代表的な研究成果を集約した『文化財／文化遺産としての民俗芸能 無形文化遺産時代の研究と保護』（勉誠出版、2018年）があります。この書籍は、民俗芸能を文化財や無形文化遺産として捉える現代的な議論に、学術的な光を当てるものです。

また、多くの研究者との共同作業にも積極的に取り組んでおり、共編著も複数刊行しています。

『日本の民俗9 祭りの快楽』（古家信平、菊池健策、松尾恒一と共編著、吉川弘文館、2009年）
『民俗小事典 神事と芸能』（神田より子と共編著、吉川弘文館、2010年）
* 『日本のしきたり30の謎』（飯倉晴武、久保田裕道と共編著、新人物往来社、2011年）

これらの共編著は、祭りや神事、あるいは日本の様々な習俗といった、民俗学の特定のテーマに焦点を当てたものであり、専門家だけでなく一般読者にとっても、日本の豊かな民俗文化に触れる機会を提供しています。

俵木悟氏は、民俗芸能と文化財という現代社会においてその意義が再認識されている分野において、学術的な研究を深めると同時に、教育活動を通じて次世代の研究者を育成するなど、多岐にわたる貢献を続けています。

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