倉田主税

倉田 主税（くらた ちから）

倉田主税（1886年3月1日 - 1969年12月25日）は、日本の実業界において重要な役割を果たした人物です。彼は日立製作所の元社長及び会長であり、日本科学技術振興財団の初代会長としても知られています。また、毎日放送の取締役を務めた経歴もあり、日本の技術と産業の発展に寄与した実業家です。彼の弟には、俳人の神崎縷々、及び三井鉱山社長を務めた倉田興人がいます。

来歴と業績

倉田は福岡県の宗像郡神興村（現在の福津市）で生まれました。彼の教育背景には、小倉工業を修了した後、仙台高等工業学校（現在の東北大学工学部）を卒業するという経歴があります。卒業後、彼は久原鉱業所日立製作所に入社し、日立鉱山から産出される銅を使った電線の自主製造を実現しました。この成功により、彼は電線工場の工場長に就任し、20年近くにわたり電線の製造に携わりました。

その後の1947年、彼は日立製作所の二代目社長に就任しました。这は、当時の初代社長であった小平浪平が公職追放となった後のことであり、彼は16名の元幹部たちに代わって社長の座につきました。倉田が社長を務めた14年間は、日立製作所の成長において極めて重要な時期であり、彼自身も日本科学技術振興財団の初代会長に選ばれるなど、技術振興に献身的に取り組みました。日立電線が独立した後も、彼はその初代会長に就任し、さらなる発展を支えました。

1959年には藍綬褒章を受章するなど、その業績が評価されました。1960年には日本科学技術振興財団の初代会長を務め、この在職期間中にテレビ局（後の東京12チャンネル）の立ち上げに尽力し、毎日放送とのネットワークを形成することにも貢献しました。

さらに、1961年には日立製作所の会長に就任し、工学部の創設を検討していた東洋大学への出資を盟友たちと共に行い、川越キャンパスに工学部が設立されることとなります。彼の影響力は、学問と実業の結びつきにも及びました。1968年には修養団の初代理事長に就任し、教育・啓蒙活動にも力を入れました。

倉田主税は1969年に自身の退職金を投じて国産技術の振興を目的とする財団法人国産技術振興会（現・倉田記念日立科学技術財団）の設立に携わりましたが、同年の12月に83歳でこの世を去りました。彼の業績と影響力は、今日の日本社会においても語り継がれています。

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