倉田淳

倉田 淳

日本の演劇界で独自の存在感を放つ脚本家であり、演出家である倉田淳氏。男性俳優のみで構成される劇団Studio Lifeの創設者の一人であり、同劇団のほぼ全ての作品において脚本と演出を一手に担っている。東京都出身。

演劇の道へ

演劇のキャリアは1976年に始まる。演劇集団「円」研究所の第一期生として演劇を学び、卒業後も研究所の講師として後進の指導にあたった。この期間、著名な演出家である芥川比呂志に師事し、1980年まで演出助手も務めている。講師時代には、後に演劇界で活躍する多くの俳優を育成した経験も持つ。

Studio Lifeの創設

1985年、河内喜一朗氏とともに劇団Studio Lifeを結成。以降、この劇団を創作活動の中心とし、そこで上演される作品のほぼ全てで脚本と演出を担当している。Studio Lifeは、男性俳優のみで女性役も含めて演じるスタイルで知られており、倉田氏の演出手腕と世界観がその独特な劇空間を創り上げている。

国際的な視点と活動

倉田氏は、英国の演劇事情にも深く通じていることで知られる。1991年からは、ロンドンやニューヨークといった演劇の本場で、日本人俳優を対象としたワークショップを企画・開催している。これは、アクターズ・スタジオの正会員講師を招いて行われる本格的なものであり、俳優の技術向上と国際交流に貢献している。

主な作品とその特徴

Studio Lifeで上演されてきた数多くの作品は、倉田氏の脚本または演出によるものである。特に、漫画や小説を原作とした作品を多く手掛けている点が特徴的だ。萩尾望都の『トーマの心臓』、『訪問者』、『メッシュ』、『マージナル』、三原順の『Sons』、『はみだしっ子』、清水玲子の『月の子』、樹なつみの『OZ』、吉田秋生の『カリフォルニア物語』、東野圭吾の『白夜行』、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』など、人気作品の舞台化を成功させている。これらの原作付き作品に加え、『WHITE』、『TAMAGOYAKI』、『PANSY MAZE』といったオリジナルの脚本作品も生み出している。また、トーマス・マンの『ヴェニスに死す』、ブラム・ストーカーの『DRACULA』、チェーホフの『桜の園』など、国内外の古典や文学作品の舞台化も手掛け、その演出の幅広さを示している。演出のみを担当した作品や、上演台本・演出、脚本・演出など、作品への関わり方は多岐にわたる。

倉田淳氏は、演劇集団「円」での基礎を経て、Studio Lifeにおいて独自の演劇世界を構築してきた。男性俳優による唯一無二の表現スタイルを確立し、国内外の多様な原作やオリジナル作品を舞台化することで、日本の演劇界に新たな風を吹き込み続けている。その演出と脚本は、多くの観客を魅了し、Studio Lifeの芸術性を支える礎となっている。

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