倍賞明

倍賞 明

東京都出身の元アマチュア野球選手、倍賞明（ばいしょう あきら）は、1944年5月11日に生まれ、2019年1月22日に前立腺癌転移による多臓器不全のため74歳でその生涯を終えました。彼は5人兄弟姉妹の長男として育ち、姉には女優の倍賞千恵子と倍賞美津子、長姉に倍賞節子、弟に倍賞鉄夫がいます。一塁手として、特にアマチュア野球界で大きな足跡を残しました。

輝かしい学生野球時代

倍賞氏は、日本大学第三高等学校に進学し、早くからその才能を発揮しました。1962年には、井上治男と豊永邦男という二人のエースを擁するチームで、三番打者兼一塁手として春夏の甲子園大会に連続出場を果たします。春の選抜大会では、準決勝で中京商の林俊彦投手の前に苦戦を強いられましたが、土壇場の9回裏に劇的なサヨナラ勝ちを収め決勝に進出。しかし、決勝では作新学院の八木沢荘六投手を打ち崩すことができず、0対1で惜しくも敗れ、準優勝という結果に終わりました。同年夏の選手権大会では、順調に勝ち進んだものの、準々決勝で村上公康を擁する西条高校に敗退しました。また、同年秋に行われた岡山国体にも出場しましたが、1回戦で久留米商業高校の伊藤久敏投手に完封され、敗退しています。

高校卒業後、1963年に日本大学へ進学。東都大学野球リーグでは、チームの中心選手として活躍し、1966年春季リーグでの優勝に貢献しました。さらに同年には、全日本大学野球選手権大会でも決勝まで駒を進め、山下律夫、有藤通世らを擁する近畿大学を破り、見事、大学日本一の栄冠を掴みました。大学時代のチームメイトには、同期に投手・吉村典男、1年下に優勝時のエースである森内一忠、遊撃手の石井久至、外野手の正垣泰祐などがいました。

社会人野球での活躍と引退後

大学を卒業した倍賞氏は、社会人野球の強豪である全鐘紡に入社します。ここでは1968年の産業対抗野球大会で、決勝で日本通運を破り優勝を経験しました。しかし、会社の業績不振に伴い野球部が解散することとなり、1969年には日産自動車へと移籍します。日産自動車でも中心打者としてチームを牽引し、1973年の都市対抗野球大会では、1回戦で松下電器の山口高志投手から3点本塁打を放つなど活躍。藤田康夫、長谷川勉といった投手陣の好投もあり、決勝まで進出しましたが、決勝では日本鋼管に投手陣が打ち崩され大敗し、準優勝に終わりました。この大会での功績が認められ、優秀選手賞を獲得しています。翌1974年の都市対抗では、1回戦で前年に対戦した山口高志投手（この年は新日鉄堺からの補強）と再び対戦しましたが、今度は完封負けを喫し、雪辱を許す形となりました。1975年には日産自動車野球部の監督に就任しました。

野球界から身を引いた後は、飲食店チェーンの経営など、実業界で手腕を発揮しました。アマチュア野球における一塁手、打者、そして指導者として確かな足跡を残した倍賞明氏は、2019年に75歳（満74歳）で亡くなりました。彼の野球人生は、高校、大学、社会人と各カテゴリーの頂点を目指し、多くの輝かしい実績を積み上げたものでした。

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