扶桑教

扶桑教の概要

扶桑教（ふそうきょう）は、日本の教派神道の一つであり、富士山信仰を基盤としています。この教団は、1873年（明治6年）に日本の富士講を統合する形で、富士一山講社として設立され、初代の教祖となった宍野半の指導のもと発展しました。富士一山講社は、駿河国富士郡にあたる現在の富士宮市の浅間神社を中心に、全国の富士講を結集し設立されたのです。

設立の背景

扶桑教の設立には、宍野半という人物の存在が大きく関与しています。彼は当時、駿河国の官選初代宮司であり、1873年に富士講を連携させるための組織を形成しました。特に、この年の9月9日には、吉田口から入山する身禄派を中心にした「一山講」が集結し、これを基盤にして「富士一山講社」が成立しました。この教団は、須走口や大宮口など、他の富士講の拡充も意図し、各地の信者を受け入れました。

設立から数年後の1875年には「富士一山教会」と改名され、さらに1876年には太祠を築くと共に「扶桑教会」と呼ぶようになりました。その後、宍野半は教団の強化に専念するために元の職を辞し、扶桑教の発展に尽力しました。

扶桑教の独立

1882年、扶桑教は教派神道として正式に独立し、以後経典『扶桑教』が作成されました。この教典は、信仰の教えや教団の理念を明確に示したものであり、扶桑教の重要な基盤となります。1884年、宍野半が亡くなるまでの間に、教団は彼の指導のもとで成長を続け、神宮教との関わりを持ちながらさらなる発展を遂げました。

歴代の教祖と管長

扶桑教の歴史の中で、多くの教祖や管長が登場します。創始者である藤原角行東覚から、初代管長の宍野半、さらにその後の身禄派に属する教祖たちが教団の運営を担いました。特に、宍野健丸は二世管長として扶桑教を受け継ぎ、その後の教団運営において重要な役割を果たしました。

主要施設

扶桑教の中心となる施設は、東京都世田谷区にある太祠です。ここは大教庁が置かれ、教団の活動の中心拠点となっています。かつてこの場所は東京市芝区に位置していましたが、歴史的な変遷を経て、現在の場所に移設されました。また、山梨県富士吉田市にある元祠は扶桑教の立教の地として重要な位置を占めており、信者にとって特別な意義を持っています。

他にも、富士山の吉田口登山道沿いには冨士山天拝宮や烏帽子岩神社など、信仰の対象となる場所が数多く点在しています。これらの社は、扶桑教の信者にとって重要な修行及び参拝の場です。

まとめ

扶桑教は、富士山を中心とした信仰を持つ教派神道の一つで、教団の歴史は多くの信者と共に歩んできました。宍野半の指導のもと、教団は発展を続け、現在も多くの信徒に支持されています。富士講の結集という背景の中で、扶桑教は日本の宗教文化において重要な役割を果たしています。

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