傅斯年

傅斯年（ふしねん、1896年3月26日 - 1950年12月20日）は、中華民国時代の著名な歴史学者であり、中央研究院歴史語言研究所の所長を務めた人物です。彼の生涯は、学術研究への情熱と、激動の時代における社会変革への積極的な関与によって特徴づけられます。

生い立ちと学生時代

傅斯年は、1896年に山東省聊城で生まれました。幼少期に父を亡くし、祖父と母に育てられました。1909年に天津府立中学堂に入学し、学問の道を歩み始めます。1913年には北京大学予科に合格し、在学中は優秀な成績を収めました。1916年に北京大学に進学し、本格的な学術研究を開始します。

新文化運動と五四運動

1918年、傅斯年は羅家倫や毛子水らと共に「新潮社」を組織し、雑誌『新潮青年』を創刊しました。彼は、当時の中国社会の変革を求める新文化運動を積極的に推進し、北京大学の国粋派と論争を繰り広げ、大きな影響を与えました。1919年に発生した五四運動では、学生リーダーとして中心的な役割を果たし、北京大学の学生を率いて天安門に集結しました。この運動は、中国の近代史において重要な転換点となりました。

海外留学と研究

1920年、傅斯年は蔡元培の推薦を受け、イギリスのエディンバラ大学へ留学しました。その後、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンに転入し、心理学の修士号を取得。1923年からはドイツのベルリン大学で学び、実験心理学や比較言語学の研究に励みました。6年間の海外留学では、学位を取得することはありませんでしたが、学問に対する深い知識と情熱を培いました。

歴史語言研究所の創設

1926年に帰国した傅斯年は、中山大学に招聘され、文科学長に就任。1928年には、中央研究院歴史語言研究所を創設し、所長に就任しました。彼は、同研究所を北京に移し、中国の歴史と言語に関する研究を推進しました。1934年には、最初の妻と離婚し、同級生であった兪大維の妹と再婚しました。1935年には、息子が誕生しました。

日中戦争と戦後の活動

1937年に日中戦争が勃発すると、傅斯年は蒋介石に招かれ、対外事務に関する意見を上申しました。彼は、国民参政会参議員にも就任し、国家の危機に際して積極的に活動しました。戦況が悪化すると、歴史語言研究所は南部地域を経由して昆明に移転。1940年には、中央研究院総幹事に任命されました。1945年には、北京大学代理学長に任じられ、汪兆銘政権下で大学に残った教員の解雇を決定し、同時に、その期間の学生の学籍を非承認とし、補習後に北京大学入学を審議するという厳しい措置を講じました。彼は、戦後の北京大学の復興に尽力し、新たな教員を迎え、6つの学院と文科研究院を擁する大学を再建しました。1946年には、北京大学学長の職を胡適に譲りました。

台湾へ

1945年、歴史語言研究所は南京に戻りました。傅斯年は、その後も学術研究に尽力し、中国の歴史と言語の研究に貢献しました。彼の甥である傅楽成も歴史学者として活動し、台湾大学で教鞭をとりました。

傅斯年の生涯は、学問への献身と、激動の時代における社会変革への積極的な関与によって彩られています。彼の業績は、中国の近代史において重要な位置を占めており、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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