備中高松城の戦い

備中高松城の戦い

備中高松城の戦いは、安土桃山時代、天正10年（1582年）に発生した戦役です。この戦いでは、織田信長の家臣である羽柴秀吉が毛利氏配下の清水宗治を城主とする備中高松城を攻略しました。秀吉の選んだ攻略法である水攻めにより、この攻城戦は日本三大水攻めの一つとされています。さらに、戦いのさなかには、信長が明智光秀によって討たれる「本能寺の変」が起こります。

戦前の情勢

戦国時代の備中は、守護氏である細川氏が衰退した後、多くの国人領主が入り乱れる状態にありました。特に三村氏が勢力を伸ばし、安芸毛利氏との連携を強めましたが、宇喜多直家との対立や合戦によりその勢力は衰退しました。直家の死後、幼い跡継ぎの宇喜多秀家が秀吉の猶子として備前の地を支配しました。

秀吉は当初、毛利氏に対抗するため中国地方への侵攻を計画していましたが、毛利氏との繋がりを持つ宇喜多勢を救うために備中に出陣する決意を固めます。天正10年2月には毛利軍と宇喜多軍との間で八浜合戦が行われ、毛利氏が勝利を収めましたが、秀吉はこの報告を受けて迅速に行動を開始します。

戦の進行

羽柴秀吉は、3月15日に姫路城から出陣し、2万の軍勢を率いて備中へ向かいました。宇喜多勢を加え、総勢約3万の大軍を形成し、4月15日に高松城を包囲します。城の守備は清水宗治が率いる3,000〜5,000の兵によって行われており、攻撃しやすい状況ではありませんでした。

秀吉は、降伏を呼びかけるものの、宗治は毛利家への忠義を重んじゆえにこれを拒否しました。続いて、秀吉は他の拠点を次々と攻略し、ついには水攻めを決行することになります。5月1日、秀吉は独創的な水攻めに乗り出し、堤防の工事を開始します。工事は迅速に進み、わずか12日後には水が城に迫ります。

水攻めの実施

水攻めのための堤防工事は、急報を受けた毛利輝元が援軍を派遣する前に急ピッチで進められました。堤防はしっかりと築かれ、高松城は湖のように孤立してしまいます。これにより城内は混乱し、物資も不足し、士気が低下します。清水宗治は城内に籠る兵たちを奮い立たせるため苦しみながらも抵抗を続けました。

一方、毛利氏は援軍を送って救援しようとしましたが、制海権を失い、資源が不足していました。援軍が到着するも、秀吉の築いた堤防がその計画を阻み、毛利軍の指揮官たちは困難な状況に直面します。

和睦の成立

長引く包囲戦の中で、秀吉と毛利氏の間で和談が持たれました。最終的には、城主の清水宗治が自刃することで和睦が成立します。宗治は最期に自らの潔白を示そうとし、清水家の名を残すことを希望しました。この和睦によって、秀吉は後の明智光秀との対決に備えることができました。

戦後の展開

その後、備中高松城は宇喜多の家臣が管理することになり、戦の情勢も変化しました。最終的に秀吉が天下を握り、清水家も新たな道を歩むことになりました。高松城跡には今もその名残が残り、周辺の住民や観光客に語り継がれています。この戦いは、戦国時代の一コマとして、今日も多くの人々に語り継がれています。

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