八浜合戦

八浜合戦（はちはまかっせん）の詳細

八浜合戦は、天正10年2月21日（1582年3月5日）に備前国児島郡八浜村（現在の岡山県玉野市八浜）で起こった戦いです。この戦いは「八浜崩れ」とも呼ばれ、中国地方の覇権を争う毛利氏と、織田信長の中国方面軍を率いる羽柴秀吉の傘下にあった宇喜多氏との間で繰り広げられました。

合戦の背景

天正9年（1581年）2月、宇喜多氏の当主であった宇喜多直家が53歳で病没しました。その後、天正10年（1582年）春、毛利氏は穂井田元清を総大将として常山城へ進軍し、児島郡の制圧を企てました。この動きに対し、宇喜多氏は宇喜多春家・基家父子を大将とし、戸川秀安、岡家利らを率いて八浜城に布陣、常山城に対抗するため麦飯山に砦を築こうとしました。しかし、毛利勢は築城の動きを察知し、先手を打って麦飯山を占拠、八浜城と対峙し小競り合いが続きました。

大崎村での激戦

同年2月21日の早朝、宇喜多勢が麦飯山麓に馬草を刈るために少数の兵を派遣しました。これに対し、毛利勢も兵を繰り出し、宇喜多勢を追い払おうとします。宇喜多勢はさらに兵を増援し、毛利勢もそれに応じる形で兵を投入。両軍の兵力が増大し、大崎村（現在の玉野市八浜町大崎）の柳畑の浜辺で大規模な合戦へと発展しました。この戦いで、宇喜多勢の大将であった宇喜多基家が討ち死にするという痛ましい結果となりました。

敗走した宇喜多勢は、八浜七本槍と呼ばれる武将たちの奮戦により、なんとか毛利勢の追撃を食い止めました。その後、宇喜多勢は八浜城に籠城し、羽柴秀吉からの援軍を待つこととなりました。

八浜七本槍

八浜合戦で特に活躍したとされるのが、以下の「八浜七本槍」と呼ばれる武将たちです。

能勢頼吉
国富貞次
宍甘太郎兵衛
馬場職家
岸本惣次郎
小森三郎右衛門
粟井正晴（三郎兵衛）

彼らの勇猛な働きが、宇喜多勢の敗走を食い止め、八浜城を守り抜く上で大きな役割を果たしたと言われています。

参考文献

森俊弘「年欠三月四日付け羽柴秀吉書状をめぐって」『岡山地方史研究』100、2003年。
山本浩樹『西国の戦国合戦』(戦争の日本史12)吉川弘文館、2007年。
光成準治「高松城水攻め前夜の攻防と城郭・港」『倉敷の歴史』18号、2008年。

まとめ

八浜合戦は、宇喜多氏にとって苦しい戦いとなりましたが、八浜七本槍のような勇敢な武将たちの活躍により、辛うじて毛利氏の侵攻を食い止めることができました。この戦いは、その後の中国地方の勢力図に大きな影響を与えることとなり、羽柴秀吉による中国攻めの重要な一局面となりました。

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