僧璨

僧璨（そうさん）とは

僧璨（そうさん、生年不詳 - 606年）は、中国禅宗の第三祖として知られる人物です。その名前「璨」は、「美しい珠」や「光り輝く宝玉」を意味し、唐の玄宗からは鑒智禅師の諡号を贈られました。彼の生涯は、多くの謎に包まれていますが、禅宗の歴史において重要な役割を果たした人物です。

悟りへの道

『景徳伝灯録』には、僧璨が第二祖慧可（えか）との出会いを通じて悟りを開いたとする物語が記されています。当時、重い病を患っていた僧璨は、慧可との対話の中で真理を悟り、その後、光福寺で具足戒を受けました。彼の病は癒え、慧可に2年間仕えたと伝えられています。悟りを開いたのは535年3月18日とされています。

慧可との出会い

『続高僧伝』には、慧可の弟子として僧璨が舒州皖公山（あんきしょうわんこうざん）で修行していたという記述があります。552年、慧可は僧璨に衣法を授け、禅の教えを託しました。当時、僧璨は40歳を超えており、その後、皖公山に隠遁しました。

隠遁生活と法難の時代

僧璨は、北周武帝による仏教弾圧の時代には、司空山（しこうざん）に隠れ住み、居場所を転々としました。10年以上もの間、彼の元を訪れる者はいませんでした。

道信との出会いと教え

592年、14歳の沙弥道信（どうしん）が弟子入りを志願しました。道信は僧璨に「悟りへの道を示してほしい」と願いましたが、僧璨は「誰があなたを縛っているのか？」「解くべきものは何か？」と問いかけ、道信を大悟させました。僧璨は道信に「妙法蓮華経」の教えや禅の真髄を伝え、道信の成長に大きな影響を与えました。

禅の伝承

593年、慧可が亡くなり、道信は僧璨のもとで9年間修行を積みました。僧璨は道信に衣法を授け、禅の教えを託しました。その際、道信が読んだ偈は、「花の種が大地に根を張り、花を咲かせるように、仏法もまた広めなければならない」という教えを説いています。僧璨は道信を唯一の弟子として、大きな期待を寄せていました。

入滅

僧璨は羅浮山（らふざん）で布教活動を行った後、舒州に戻り、多くの人々に説法しました。そして、「生死は自由である」と言い残し、立ったまま入滅したと伝えられています。その日は、606年のことでした。没後、唐の玄宗から鑒智禅師の諡号を贈られました。

著作と伝記

僧璨の著作として知られているのは、『信心銘』です。この書は、禅の教えを簡潔にまとめたもので、後世の禅宗に大きな影響を与えました。また、独孤及（どっこきゅう）が著した「隋故鑒智禅師碑銘并序」が伝記として知られています。7世紀半ばに成立した『続高僧伝』にも、僧璨に関する記述が見られます。

禅宗における僧璨の重要性

僧璨は、菩提達磨（ぼだいだるま）から慧可へと受け継がれた禅の教えを、道信へと繋いだ重要な人物です。彼がいたからこそ、禅宗は発展し、今日まで受け継がれてきたといえるでしょう。

その他

1982年に杭州で発見された煉瓦には、僧璨が606年に舒州の皖公山で入滅し、道信がその供養塔を建てたという記録が残されています。また、川島芳子の生存説では、彼女が立ったまま亡くなっていたという説がありますが、僧璨の入滅とは直接の関係はありません。

まとめ

僧璨は、謎に包まれた生涯を送った禅宗の祖師です。彼の教えは、弟子である道信によって受け継がれ、後の禅宗の発展に大きく貢献しました。『信心銘』に込められた禅の精神は、現代においても多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索