元和里

元和里の概要

元和里（ウォンファり、韓国語で「院和里」とも表記される）は、朝鮮民主主義人民共和国の平安南道平原郡に位置する里である。この場所は、主に拉致被害者に関する情報が集中している地域であり、その特殊な背景について様々な分析が行われている。

拉致被害者に関する状況

2011年、韓国の情報機関によると、平安南道にある元和里に数十人の韓国人や日本の拉致被害者が移送された可能性が高いとされている。この中には、「統営の娘」と呼ばれる良心の囚人、申淑子の一家も含まれている。また、在日朝鮮人の帰還事業で北朝鮮に渡った元在日朝鮮人もいると見られている。

元和里には、かつて工作員の訓練施設として使用されていたという歴史もあり、悪名高い人民保安部（現在の社会安全省）の中佐を務めた脱北者によれば、1990年代以降はその役割が変更され、拉致被害者を収容する施設に変わったとのことだ。この脱北者は、元和里周辺の地形が多様であり、訓練に適していることからも、冷戦期の工作員訓練場として重要視されていたことを示唆している。

家同士の距離とコミュニケーションの難しさ

元和里では、家々が離れているため、拉致された被害者同士が自由にコミュニケーションを取るのが難しいという側面も挙げられている。また、近隣にはサッカー北朝鮮代表のキャンプがあり、かつては「中央党結核病院」と呼ばれていた、朝鮮労働党の幹部やその家族専用の病院も存在している。このように、元和里は多くの重要な施設と絡んでおり、その位置づけは北朝鮮の権力構造に深く関わっている。

拉致被害者の事情

拉致被害者に関しては、北朝鮮政権に協力していた人も少なからずいることが知られているが、引退後も監視下に残されている人々が多い。これにより、北朝鮮当局は、被害者たちを韓国や日本との交渉の材料として利用しようとしているとの指摘もある。

文化的な住宅の建設

2020年9月、朝鮮中央通信が元和里協同農場に数百世帯の「文化的な住宅」が建設されたと報じた。これは、近い将来の住居政策として、地元住民や新たに移住する人々に向けた施策の一環と考えられ、元和里の地域振興に寄与することが期待されている。

元和里は、現在の政治的背景や歴史的出来事が重なり合っている地域であり、拉致被害者の扱いや北朝鮮の内部事情を理解する上で重要な地点として注目されている。

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