元彬

元彬（げん ひん）

元彬（464年 - 499年）は、北魏の皇族であり、字（あざな）は豹児（ひょうじ）と称しました。南安王である拓跋楨（たくばつ てい）の次男として生まれ、章武王（しょうぶおう）拓跋太洛（たくばつ たいろく）の後を継ぎ、章武王の爵位を嗣ぎました。

生涯

元彬は、勇敢で体格に恵まれ、軍事的な才能に秀でていました。その能力を買われ、使持節（しじせつ）・都督東秦豳夏三州諸軍事（ととく とうしんひんかさんしゅうしょぐんじ）・鎮西大将軍（ちんせいだいしょうぐん）・西戎校尉（せいじゅうこうい）・統万鎮都大将（とうばんちんとだいしょう）・夏州刺史（かしゅうしし）として重要な地域に出向しました。

489年（太和13年）には、収賄の罪により爵位を剥奪されるという失態を犯しましたが、その後、吐京胡（ときょうこ）が反乱を起こすと、元彬は再びその能力を活かす機会を得ます。彼は命を受け、持節（じせつ）・平北将軍（へいほくしょうぐん）・行汾州事（こうふんしゅうじ）となり、并州（へいしゅう）と肆州（ししゅう）の兵を率いて吐京胡の討伐に当たりました。この反乱を見事に鎮圧した功績により、征虜将軍（せいりょしょうぐん）・汾州刺史（ふんしゅうしし）に任じられました。

しかし、胡民（こみん）の去居（きょきょ）ら600人あまりが反乱を起こした際、元彬は兵2万の応援を要請し、中央の官吏はこれを許可するよう上奏しました。これに対し、孝文帝（こうぶんてい）は激怒し、「中央の兵馬を動かす理由がどこにあるのか。もし現地で収拾することができないのであれば、まずは刺史を斬ってから、その後に兵を出立させよう」という厳しい内容の詔を下しました。この孝文帝の言葉に元彬は大いに恐縮し、汾州の兵を率い、自ら将士の先頭に立って胡民の反乱を鎮圧しました。

499年5月2日（太和23年）、元彬は36歳という若さでこの世を去りました。その功績を称えられ、諡（おくりな）として恭（きょう）が贈られました。

子女

元彬には、以下の子供たちがいました。

元融（げん ゆう）
元凝（げん ぎょう）
元湛（げん たん）
元晏（げん あん）：字は俊興（しゅんこう）。秘書丞（ひしょのつかさ）を務めました。

伝記資料

元彬に関する記述は、以下の史書に見られます。

『魏書』（ぎしょ）巻19下 列伝第7下
『北史』（ほくし）巻18 列伝第6
* 持節征虜将軍汾州刺史彬墓誌（じせつせいりょしょうぐんふんしゅうししひんぼし）（元彬墓誌）

脚注

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