元融

元融（げん ゆう、481年 - 526年）は、北魏の皇族であり、字は永興と名乗りました。章武王元彬の長男として生まれ、北魏の朝廷において重要な役割を果たしました。

経歴

492年（太和16年）、元融は秘書郎に任じられ、官吏としてのキャリアをスタートさせました。景明年間には、章武郡王の爵位を継承し、驍騎将軍の位を受けました。これにより、彼は軍事面でも重要な地位を占めることとなります。

506年（正始3年）、南朝梁の軍が北魏の淮陽に侵攻し、梁城を陥落させるという事態が発生しました。これに対し、元融は仮節・征虜将軍の位を授けられ、叔父である中山王元英の指揮下で別将として南征し、見事に梁城を奪還しました。この功績により、彼の名声は高まりました。その後、揚州刺史であった元嵩が寿春で殺害されると、元融は行揚州事として揚州の統治を任されました。その後、洛陽に戻り、仮節・征虜将軍・并州刺史に任じられました。

515年（延昌3年）、宣武帝が崩御すると、元融は司空を兼任しました。その後、宗正卿に任じられ、本官のまま行瀛州事を命じられましたが、病を理由に赴任しませんでした。その後、散騎常侍・平東将軍・青州刺史に任じられましたが、再び召還されて秘書監となりました。その後、中護軍に転じ、撫軍将軍の位を受け、河南尹を兼任しました。中護軍のまま征東将軍の位を加えられました。

523年（正光4年）には、収奪をほしいままにしたとして御史中尉から弾劾を受け、官爵を剥奪されるという苦難も経験しました。しかし、524年（正光5年）に汾州・夏州で山胡が反乱を起こすと、元融は章武郡王の爵位を回復し、征東将軍・持節・都督に任じられて反乱鎮圧の指揮を執りました。しかし、山胡との戦いで敗北を喫しました。その後、散騎常侍・衛将軍・左光禄大夫の位を加えられました。

526年（孝昌2年）、鮮于修礼が瀛州・定州で反乱を起こし、長孫稚らが討伐に当たりましたが、敗北しました。元融は車騎将軍の位を受け、左軍都督として先鋒を務め、広陽王元淵らと共に鮮于修礼の討伐に臨みました。北魏軍が交津を渡ると、葛栄が元洪業を殺害して自立し、白牛邏に進軍して軽騎を率いて元融を攻撃しました。元融は終日奮戦しましたが、外援もなく、ついに敗れて戦死しました。享年46歳でした。彼の功績を讃え、侍中・都督雍華岐三州諸軍事・車騎大将軍・司空・雍州刺史の位が追贈され、まもなく司徒の位が加えられました。諡は武荘とされました。

妻子

元融は、穆氏、盧貴蘭、程氏の3人の妻を娶りました。

穆氏（? - 509年）
盧貴蘭（493年 - 546年、盧延集の娘）
程氏

彼には、以下の4人の息子がいました。

元景哲（章武王、東魏の武定年間に開府儀同三司、北斉が建国されると爵位を降格された）
元朗（後廃帝、安定王、字は仲哲）
元叔哲（員外散騎侍郎、征虜将軍・中散大夫）
元季哲（秘書郎中、征虜将軍・中散大夫）

伝記資料

元融に関する記述は、『魏書』巻19下 列伝第7下や『北史』巻18 列伝第6に収録されています。また、彼の業績を記した墓誌銘も残されています。

『魏書』巻19下 列伝第7下
『北史』巻18 列伝第6
使持節侍中司徒公都督雍華岐三州諸軍事車騎大将軍雍州刺史章武武荘王墓誌銘（元融墓誌）
魏章武王妃穆氏墓誌銘（元融妃穆氏墓誌）
魏故使持節侍中司徒公都督雍華岐揚青五州諸軍事車騎大将軍雍州刺史章武王妃盧氏墓誌銘（盧貴蘭墓誌)

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