元燮

元燮（げん しょう、生年不詳 - 515年）は、北魏の皇族であり、安定王の爵位を継承した人物です。彼の生涯は、北魏の地方行政における貢献と、その後の子孫たちの運命を通じて知ることができます。

経歴

元燮は、拓跋休の次男として生まれました。早くから才能を示し、下大夫の位を受けました。宣武帝の時代に入ると、安定王の爵位を嗣ぎ、太中大夫の位に進みました。その後、征虜将軍・華州刺史に任じられ、地方行政に携わることになります。

華州刺史として、元燮は州治を李潤堡から馮翊古城に移転することを上奏し、これが許可されました。この移転は、華州の政治・経済の中心をより発展した地域に移すことを意図したものであり、元燮の先見の明を示すものと言えるでしょう。その後、彼は征虜将軍・豳州刺史に任じられ、引き続き地方行政に貢献しました。

515年（延昌4年）、元燮は亡くなりました。彼の功績を称え、征虜将軍・朔州刺史の位が追贈されました。

子女

元燮には、元超と元琰という二人の息子がいました。

元超：字は化生。北平王に封じられ、城門校尉・通直散騎常侍・東中郎将、光禄大夫・将作大匠などを歴任しました。しかし、爾朱栄が洛陽に入ると、洛南に避難したものの殺害されるという悲劇的な運命を辿りました。
元琰：字は伏宝。西魏において宋安王に封じられました。元燮の血筋は、北魏から西魏へと時代が移り変わる中で、それぞれの立場で生きていくことになります。

伝記資料

元燮に関する記述は、『魏書』巻19下 列伝第7下と『北史』巻18 列伝第6に収録されています。これらの史料は、元燮の生涯や業績を知る上で重要な情報源となっています。

安定王元燮造釋迦記

元燮の事績を伝える資料として、「安定王元燮造釋迦記」というものも存在します。これは、彼が仏教に深く帰依していたことを示すものであり、当時の北魏における仏教の隆盛を物語る資料としても貴重です。

元燮は、北魏の皇族として、地方行政に貢献し、子孫たちもそれぞれの時代を生きました。彼の生涯は、北魏の歴史を語る上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。

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