元禄大判

元禄大判について

元禄大判は、元禄8年（1695年）11月に発行された大判であり、慶長大判に続いて作られました。この大判は、同年の9月に行われた元禄の吹替え、すなわち貨幣の改鋳に伴い、元禄小判や元禄丁銀と同様に品位を下げて発行されました。鋳造は、江戸本郷霊雲寺近くの大根畑に設けられた吹所にて、元禄金銀と共に行われました。

概要

元禄大判の表面には、「拾両後藤（花押）」と墨書されており、これは後藤家の十代廉乗と十一代通乗によるものです。また、上下左右に丸枠桐極印がそれぞれ一つずつ、計四箇所打たれています。形状は角ばった楕円形をしているのが特徴です。裏面には「元」の年代印が打たれており、これは品位を下げた小判や丁銀にはよく見られるものですが、大判としては元禄大判のみに見られる特徴です。

さらに、裏面には「茂・七・九」、「茂・さ・九」、「茂・宇・九」、「茂・山・九」、「茂・坂・九」のいずれかの極印が打たれています。これらの極印は、鋳造に関わった人物や場所を示すものと考えられます。

元禄大判の鋳造枚数は、31,795枚または30,240枚とされています。これは江戸時代の大判としては比較的多い数ですが、現在、真正品として確認されているものは非常に少なく、非常に希少価値が高いとされています。

品位が二割以上も低下したにも関わらず、慶長大判との引き換えには1%の増歩しか付けられませんでした。また、元禄大判の相場は、含有金量からすると元禄小判の九両一分に相当しましたが、実際には七両二分程度で取引されていました。これは、品位の低下に対する市場の評価が厳しかったことを示しています。

元禄大判は、発行された元禄8年（1695年）から享保10年（1725年）11月末まで通用しました。この期間は、江戸時代の貨幣制度における重要な期間であり、元禄大判は当時の経済活動を支える重要な役割を果たしました。

参考

* 元禄大判に関する資料

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