光了寺 (古河市)

光了寺（こうりょうじ）

光了寺は、茨城県古河市中田に佇む真宗大谷派の寺院です。かつては武蔵国高柳村（現在の久喜市高柳）にあり、天台宗の「高柳寺」と称されていました。建保年間（1213年 - 1218年）に、住職であった円崇興悦が親鸞聖人の弟子となり、法名を西願と改めて浄土真宗に改宗し、「光了寺」となりました。

その後、五世住職である感悦の時代に高柳から栗橋へ、さらに六世住職の悦信の時代に栗橋から現在の中田へと移転したと伝えられています。

静御前との縁

光了寺には、源義経の愛妾であった静御前が葬られたという伝承が残されています。静御前は義経を追って奥州平泉へ向かう途中、古河の下辺見村で義経の死を知り、京へ戻ることを決意しました。しかし、悲しみのあまり伊坂（現在の久喜市栗橋）で病に倒れ亡くなったため、侍女の琴柱が静御前を光了寺に葬ったとされています。墓標として植えられた一本の杉が、その証として伝えられています。

寺に伝わる『静女蛙蟆龍御衣略縁起』には、この伝承が記されています。また、近世の地誌である『古河志』や『利根川図志』にも同様の記述が見られます。静御前が奥州へ行くか京へ戻るか思案した場所は「思案橋」と呼ばれ、現在も国道354号の向堀川に架かる橋としてその名が残っています。

境内の見どころ

山門をくぐると、右手には宝物殿があります。宝物殿には、茨城県指定有形文化財である木造聖徳太子立像（松葉太子像）や、蛙蟆龍（あまりょう）の御衣をはじめ、静御前の守本尊、源義経の懐剣、伝弘法大師作の大黒天灰像など、貴重な寺宝が数多く所蔵されています。寺宝の見学は事前予約制となっています。

文化財

木造聖徳太子立像（松葉太子像）: 鎌倉時代前期の作とされ、像高96cmの寄木造、玉眼、彩色が施されています。聖徳太子七歳の像で、毅然とした中に明るさをたたえた表情が特徴的です。美術的価値が高く、七歳像としては稀少な作品として評価されています。
蛙蟆龍（あまりょう）の御衣: 源義経の愛妾・静御前が、京都・神泉苑での雨乞いの儀式で着用したと伝えられる舞衣です。黒藍の地に緑糸で円錐多層宝塔が縫い取られ、金銀糸で日と月、菱型の瑞雲と飛鶴があしらわれた、非常に珍しい形式の衣装です。雲文の表現には中国・明時代の特徴が見られます。

アクセス

鉄道:
JR宇都宮線 古河駅東口から徒歩約70分（約5.5km）、タクシーで約15分。西口では市内観光用無料レンタル自転車「コガッツ」が利用できます。
* JR宇都宮線 栗橋駅東口から徒歩約35分（約2.7km）、タクシーで約10分。

光了寺は、静御前の伝説と貴重な文化財が息づく、歴史と文化を感じられる場所です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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