光岡・ヌエラ

光岡自動車 ヌエラ：クラシックデザインと現代技術の融合

光岡自動車によって製造販売されていたヌエラは、往年の名車へのオマージュとして生まれた、個性的な自動車です。2004年から2012年にかけて販売され、その独特のレトロなデザインと、ベース車両の信頼性、そして希少性から、現在でも多くのファンを魅了し続けています。

初代ヌエラ (2004年-2008年)：ホンダ・アコードをベースに

初代ヌエラは、ホンダ7代目アコードをベース車両として開発されました。光岡自動車はホンダと正式な車両販売契約を締結し、このモデルの生産を実現しました。丸型4灯のヘッドランプや、左右を繋げたU字型のリアコンビランプなど、細部までこだわったクラシックなデザインが特徴です。リアコンビランプは専用設計で、その技術は光岡のスポーツカー「オロチ」にも活かされました。

ボディカラーや内装、装備などはアコードを踏襲しつつも、ヌエラ独自の専用色として「ディープグリーンパール」が設定されるなど、個性を際立たせています。エンジンはアコードの2.4L（200PS）と2.0L（152PS）直列4気筒i-VTECエンジンを搭載し、トランスミッションは5速AT。駆動方式はFFが中心ですが、一部グレードには4WDも設定されました。安全装備として運転席・助手席エアバッグ、EBD付きABS、ブレーキアシストを標準装備し、上位グレードにはVSA（車両安定化制御システム）も搭載されていました。

2005年にはベース車の変更に伴い細部の変更、グレードの整理が行われ、2006年にはマイナーチェンジで新色の追加や内装デザイン変更、16インチアルミホイールの設定などが行われました。しかし、2008年にアコードのモデルチェンジが予定されたため、同年2月にはヌエラの受注が終了しました。

光岡自動車の認定中古車制度では、高品質なアコードユーロRやアコードワゴンをベースにした「ヌエラユーロR」「ヌエラワゴン」も製作・販売されました。特にワゴンモデルは、フロントはセダンと同様のデザインである一方でリアはベース車のアコードワゴンと差異が少なく、賛否両論ありました。

2代目ヌエラ 6-02 (2008年-2012年)：トヨタ・カローラアクシオ/フィールダーへ変更

初代ヌエラの販売終了から約5ヶ月後、2代目ヌエラが登場しました。車名は「NOUERA 6-02」と改名され、ベース車両はホンダ・アコードからトヨタ・カローラアクシオ（初代）/カローラフィールダー（2代目）に変更されました。ボディサイズは初代より小型化され、より扱いやすくなりました。

先代のデザインを継承しつつも、光岡のコンパクトカー「ガリュー2-04」で培われた技術や、環境性能の向上も図られました。ハンドメイドならではの複雑で大胆な曲面を多用した、独特のデザインが特徴です。完全受注生産で、納期は約3ヶ月を要しました。

2代目ヌエラもまた、セダンのリアビューはガリュー2-04とほぼ共通のデザインでしたが、ワゴンのリアビューはベース車両である2代目フィールダーとほぼ同じで、デザインの統一感に欠けるという声も聞かれました。

2008年11月にはマイナーチェンジを行い、外装カラーや装備の見直しが行われました。2010年には、ベース車の改良に伴い、エンジンやトランスミッションの最適化、燃費向上、環境対応車普及促進税制への適合などが実施されました。2012年、ベース車の生産終了に伴い、新車の生産・販売は終了しましたが、認定中古車の生産・販売は2015年末まで続けられました。認定中古車においては、ワゴンモデルにガリューのようなテールランプを採用した個体も存在したようです。

車名の由来

車名の「ヌエラ」は、英語の「New era（ニューエラ）」、つまり「新時代」に由来しています。光岡自動車が新たな時代を切り開くという意志が込められています。

まとめ

光岡ヌエラは、クラシックなデザインと現代技術が見事に融合した、個性あふれる自動車です。希少性も高く、コレクターズアイテムとしても人気が高いモデルとなっています。その独特のデザインと、光岡自動車のクラフトマンシップを堪能できる、魅力的な一台と言えるでしょう。

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