光通信 (企業)

株式会社光通信の概要

株式会社光通信（HIKARI TSUSHIN, INC.）は、東京都豊島区に本社を置く情報通信業のホールディングカンパニーです。JPX日経インデックス400の構成銘柄の一つであり、インターネット回線、電力、宅配水、保険などの販売事業を主に行っています。

創立と成長

1988年に重田康光によって設立された光通信は、携帯電話やPHSの普及期に、携帯電話販売代理店「HIT SHOP」を全国展開し、急成長を遂げました。新規契約者に端末を無料で提供し、契約ごとに報奨金を得るビジネスモデルで事業を拡大。「HIT SHOP」はスカパーの受信機器レンタルサービス「デジタルクラブ」の取次事業も展開していました。

また、携帯電話の利用促進のため、情報料不要で通話料のみで利用できるボイスメール・音声情報サービス「イケテルIネット」を開始しました。このサービスは現在、関連会社の「ファイブエニー」が引き継いで運営しています。

ITバブルと株価の急落

1990年代後期のITバブル期には、光通信は投機銘柄として株価が急騰しました。しかし、携帯電話市場が飽和し、新規契約が頭打ちになると、「DDI」に対する架空契約が発覚。2000年3月に株価が急落しました。

2000年8月期には業績を上方修正すると発表したものの、その2週間後には大幅な下方修正を発表。市場は光通信の組織モデルに対する不信感を増幅させ、株価は最高値24万円から3か月で8000円台まで暴落しました。2000年の年間値下がり率は99.1％と、ワースト記録を更新しました。

新興ITベンチャー企業への積極的な投資も、市場の疑念を呼び込み、「ITバブル崩壊の大立役者」と揶揄されるようになりました。東証一部で20営業日連続ストップ安を記録したことをきっかけに、上場規則が改正され、ストップ安（ストップ高）が3営業日連続で続いた場合には、その翌営業日から値幅制限が拡大されることとなりました。

事業転換と現在

市場は、携帯電話販売事業から得られる報奨金が期限付きであることを懸念し、光通信の経営を危惧しました。しかし、光通信は携帯電話販売事業を大幅に縮小し、シャープの複写機販売を中心に業態転換を図りました。2001年には赤字に転落しましたが、2004年には黒字に転換し、2014年には売上高が約5651億円に達しました。

現在の携帯電話販売事業は、東京23区内などで複数キャリアを併売する「OBM it's」などが展開されていますが、多くの地域ではauやソフトバンクの専売店に転換しています。また、ブロードバンド回線の拡販では「Yahoo! BB」を販売し、コールセンターを運営する子会社を設立し、光ファイバー回線の販売を行っています。

商号と経営陣

社名は、創業者である重田康光氏の名前から「光」を、事業内容である「通信」を合わせて名付けられました。歴代の社長は以下の通りです。

重田康光：1988年2月 - 2003年6月、2003年6月 - 代表取締役会長
玉村剛史：2003年6月 - 2019年6月、2019年6月 - 取締役副会長
和田英明：2019年6月 - 現在

事業所と沿革

本社は東京都豊島区に所在し、1988年の設立以来、様々な事業展開を行ってきました。主な沿革は以下の通りです。

1988年：OA機器、オフィス電話等の販売及びリース事業を開始
1993年：携帯電話サービス回線販売事業を開始
1994年：携帯電話端末の販売を開始
1999年：東京証券取引所市場第一部へ上場
2002年：決算期を8月から3月に変更
2011年：本社を東京都豊島区に移転
2012年～2018年：自己株式の消却
2019年～2022年：関連会社の完全子会社化など

事業内容

光通信は、連結子会社175社および持分法適用関連会社137社（2019年3月末時点）を擁し、以下の事業セグメントを展開しています。

法人サービス事業： 中小企業向けに通信回線サービスや電力、各種システムなどを販売。
個人サービス事業： 個人向けに通信回線サービスや宅配水などを販売。
取次販売事業： 通信キャリアや保険会社などの各種商品の取次販売。

参考文献

松島庸 『追われ者』（東洋経済新報社、2002年）
溝上幸伸 『孫正義の10年後発想 - 光通信・重田康光ら若手ネットベンチャー経営者にみる失敗の研究』（あっぷる出版社、2000年）
氏家和正 『ITバブルの内幕 - 光通信の天国と地獄』（道出版、2000年）
『フォーブス（日本版）』（株式会社ぎょうせい、1999年3月号）
『月刊 文藝春秋』（株式会社文藝春秋、2000年4月号）

外部リンク

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