免疫グロブリンG
免疫グロブリンG（IgG）は、私たちの体の免疫システムにおいて中心的な役割を果たす抗体の一種です。血液中に存在する免疫グロブリンの約75%を占め、血液だけでなく組織液にも広く分布しており、体内で最も豊富に見られる抗体クラスと言えます。IgGは主に形質細胞（プラズマB細胞）によって産生・放出されます。
IgG分子は、基本的な抗体の構造である単量体型をしています。具体的には、2本の重鎖（ガンマ鎖）と2本の軽鎖が組み合わさった構造を持ち、分子量は約150キロダルトン（kDa）です。この4本のペプチド鎖はジスルフィド結合によって連結されており、全体としてY字型を形成します。Y字の上部の二股に分かれた部分の先端には、それぞれ抗原結合部位（パラトープ）があり、特定の病原体や異物（抗原）を認識して結合します。Y字の柄の部分にあたるFc領域には、糖鎖が付加されており、この糖鎖構造はIgGの機能や関連する疾患に影響を与えることが分かっています。
IgGの主要な機能は、体液性免疫の中心として感染防御を担うことです。IgGはウイルス、細菌、真菌といった多様な病原体と結合し、これらの排除を助けます。その防御メカニズムは多岐にわたります。
病原体の固定・凝集: IgGが複数の病原体に結合することで、それらを動けなくしたり、互いにくっつけて集めたりします。これにより、病原体の拡散を防ぎ、免疫細胞が処理しやすくします。
オプソニン化: 病原体の表面をIgGが覆うことで、食細胞（マクロファージや好中球など）が病原体を認識しやすくなります。オプソニン化された病原体は、食細胞に取り込まれて分解され、排除が進められます。
補体活性化: IgGは補体系と呼ばれる免疫タンパク質のカスケード反応を活性化させる能力を持ちます。特に古典経路を効果的に起動させ、病原体の直接的な破壊や炎症反応の促進につながります。
毒素の中和: 病原体が産生する毒素に結合し、その働きを無効化します。これにより、毒素が宿主細胞に与えるダメージを防ぎます。
* 細胞性免疫との連携: IgGは、特定の免疫細胞を活性化して病原体感染細胞を破壊する抗体依存性細胞傷害（ADCC）に関与します。また、細胞内に侵入したウイルス粒子などを特定のタンパク質（TRIM21など）を介して認識し、分解経路へ誘導する細胞内抗体媒介性タンパク質分解（IAMD）においても重要な役割を果たします。
IgGは、主に二次免疫応答において中心的な役割を担います。これは、一度抗原に曝露された後に、免疫応答の過程で抗体の種類が切り替わり（クラススイッチング）、より効果的な抗体が産生されるようになるためです。IgGは分子サイズが比較的小さいため、血管から容易に組織液へと移行し、感染部位に到達しやすいという特徴があります。
IgGの特筆すべき機能として、胎盤を通過できる唯一の抗体であることが挙げられます。これにより、母親のIgGが胎児へと移行し、まだ自身の免疫システムが十分に機能しない胎児や新生児を感染から守る役割を果たします。出生後も、母乳（特に初乳）に含まれるIgAに加え、胎盤由来のIgGが一定期間、新生児の体液性免疫を支えます。しかし、時間の経過とともに母親由来のIgGは分解され、新生児自身の免疫系が発達するまでの生後半年から1年頃にかけてIgG濃度が低下する期間があり、この時期は感染症にかかりやすくなることが知られています。
また、IgGはアレルギー反応の調節にも関与します。特に、全身性アナフィラキシーにおいては、IgEが関与する古典的な経路とは異なる経路で反応を媒介することが示唆されています。一方で、少量の抗原に対するIgE介在性アナフィラキシーを、抗原がIgEに結合する前に捕捉することで抑制する働きも持ちます。
ヒトのIgGは、さらにIgG1、IgG2、IgG3、IgG4という4つのサブクラスに分類されます。これらは、血清中の存在量（IgG1が最も多い）や、構造（特にヒンジ領域）、Fc受容体への結合親和性、補体活性化能力などが異なります。例えば、IgG1やIgG3は補体活性化能が高い一方、IgG2やIgG4は低い、あるいはほとんどありません。これらのサブクラスが免疫応答の異なる段階で協調的に働くというモデルも提唱されており、応答初期にIgG3が現れ、続いてIgG1、IgG2が産生され、抗原が持続する場合はIgG4が炎症を抑制するように働くといった考え方があります。
臨床においては、血中のIgG量を測定することが様々な疾患の診断や経過観察に用いられます。特定の感染症に対する抗体価（IgGの量）を測定することで、過去の感染歴や免疫の有無を評価したり、自己免疫性肝炎などの特定疾患の診断の補助としたりすることがあります。ただし、食物アレルギーの診断における特定のIgG抗体測定の有用性は、現時点では確立されていません。鳥類においては、IgGはしばしばIgYと呼ばれ、血清や卵黄に見られます。
IgG分子は、基本的な抗体の構造である単量体型をしています。具体的には、2本の重鎖（ガンマ鎖）と2本の軽鎖が組み合わさった構造を持ち、分子量は約150キロダルトン（kDa）です。この4本のペプチド鎖はジスルフィド結合によって連結されており、全体としてY字型を形成します。Y字の上部の二股に分かれた部分の先端には、それぞれ抗原結合部位（パラトープ）があり、特定の病原体や異物（抗原）を認識して結合します。Y字の柄の部分にあたるFc領域には、糖鎖が付加されており、この糖鎖構造はIgGの機能や関連する疾患に影響を与えることが分かっています。
IgGの主要な機能は、体液性免疫の中心として感染防御を担うことです。IgGはウイルス、細菌、真菌といった多様な病原体と結合し、これらの排除を助けます。その防御メカニズムは多岐にわたります。
病原体の固定・凝集: IgGが複数の病原体に結合することで、それらを動けなくしたり、互いにくっつけて集めたりします。これにより、病原体の拡散を防ぎ、免疫細胞が処理しやすくします。
オプソニン化: 病原体の表面をIgGが覆うことで、食細胞（マクロファージや好中球など）が病原体を認識しやすくなります。オプソニン化された病原体は、食細胞に取り込まれて分解され、排除が進められます。
補体活性化: IgGは補体系と呼ばれる免疫タンパク質のカスケード反応を活性化させる能力を持ちます。特に古典経路を効果的に起動させ、病原体の直接的な破壊や炎症反応の促進につながります。
毒素の中和: 病原体が産生する毒素に結合し、その働きを無効化します。これにより、毒素が宿主細胞に与えるダメージを防ぎます。
* 細胞性免疫との連携: IgGは、特定の免疫細胞を活性化して病原体感染細胞を破壊する抗体依存性細胞傷害（ADCC）に関与します。また、細胞内に侵入したウイルス粒子などを特定のタンパク質（TRIM21など）を介して認識し、分解経路へ誘導する細胞内抗体媒介性タンパク質分解（IAMD）においても重要な役割を果たします。
IgGは、主に二次免疫応答において中心的な役割を担います。これは、一度抗原に曝露された後に、免疫応答の過程で抗体の種類が切り替わり（クラススイッチング）、より効果的な抗体が産生されるようになるためです。IgGは分子サイズが比較的小さいため、血管から容易に組織液へと移行し、感染部位に到達しやすいという特徴があります。
IgGの特筆すべき機能として、胎盤を通過できる唯一の抗体であることが挙げられます。これにより、母親のIgGが胎児へと移行し、まだ自身の免疫システムが十分に機能しない胎児や新生児を感染から守る役割を果たします。出生後も、母乳（特に初乳）に含まれるIgAに加え、胎盤由来のIgGが一定期間、新生児の体液性免疫を支えます。しかし、時間の経過とともに母親由来のIgGは分解され、新生児自身の免疫系が発達するまでの生後半年から1年頃にかけてIgG濃度が低下する期間があり、この時期は感染症にかかりやすくなることが知られています。
また、IgGはアレルギー反応の調節にも関与します。特に、全身性アナフィラキシーにおいては、IgEが関与する古典的な経路とは異なる経路で反応を媒介することが示唆されています。一方で、少量の抗原に対するIgE介在性アナフィラキシーを、抗原がIgEに結合する前に捕捉することで抑制する働きも持ちます。
ヒトのIgGは、さらにIgG1、IgG2、IgG3、IgG4という4つのサブクラスに分類されます。これらは、血清中の存在量（IgG1が最も多い）や、構造（特にヒンジ領域）、Fc受容体への結合親和性、補体活性化能力などが異なります。例えば、IgG1やIgG3は補体活性化能が高い一方、IgG2やIgG4は低い、あるいはほとんどありません。これらのサブクラスが免疫応答の異なる段階で協調的に働くというモデルも提唱されており、応答初期にIgG3が現れ、続いてIgG1、IgG2が産生され、抗原が持続する場合はIgG4が炎症を抑制するように働くといった考え方があります。
臨床においては、血中のIgG量を測定することが様々な疾患の診断や経過観察に用いられます。特定の感染症に対する抗体価（IgGの量）を測定することで、過去の感染歴や免疫の有無を評価したり、自己免疫性肝炎などの特定疾患の診断の補助としたりすることがあります。ただし、食物アレルギーの診断における特定のIgG抗体測定の有用性は、現時点では確立されていません。鳥類においては、IgGはしばしばIgYと呼ばれ、血清や卵黄に見られます。
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