児山城

児山城（こやまじょう）について

栃木県下野市下古山にある児山城は、今から数百年前に存在した城の遺跡であり、地域の歴史を物語る貴重な文化財です。この城は、児山氏が約10代にわたりその拠点として使用していましたが、古い文献が不足しているため、その全容は依然として謎に包まれています。

構造と遺構

児山城は姿川の東岸に位置し、自然の地形を巧みに利用して築かれた平城です。本丸跡には、現存する堀（一の堀）と土塁があり、その広さは東西77メートル、南北87メートルとなっています。四隅に高まりがあり、かつては櫓が設けられていた可能性があります。内堀の幅は約20メートルで、これは戦国時代のものと考えられていますが、本丸跡は現在民有地となっており、雑木林に覆われています。

往時、児山城は五重の堀と土塁で囲まれ、東西がおよそ400メートル、南北が約700メートルに及んでいたとする説もあります。一の堀の外側は、今日では宅地や耕地として利用されていますが、空堀を道路として再利用している箇所も見られ、戦国時代の地割りに基づいた集落も存在しています。周辺の小字には本城、西城、中城、北城などがあり、標高は本丸跡から東に行くほど高くなります。

児山城の南には、初代城主が建立した華蔵寺があり、城内にあったとも言われています。旧石橋中学校の跡地には、かつての稲荷城と呼ばれる場所があり、廃水路も見られることから、城の南端である可能性が考えられています。また、星宮神社の境内北側に位置しているのが、城の北端であったと思われる空堀の跡です。

歴史的背景

児山城の建立は、鎌倉時代の後期にさかのぼります。伝承によれば、多功宗朝の息子である多功朝定が児山郷を分封され、城を築いたとされています。城は多功城の西を守る役割を果たし、所領は約300から400町歩に相当していたと考えられています。朝定は児山姓に改名し、肥後守と称しました。

城主は代々、児山氏が受け継いでいきます。特に、推定6代目の城主である児山宗晴は、茂原合戦において一族を率いて出陣し、武功を立てました。また、天文8年の小山高朝書状には、児山城に籠城した芳賀高経の防戦についての記述があり、城の重要性がうかがえます。その後、天文18年の喜連川五月女坂の戦いでは、児山兼朝が宇都宮尚綱方として戦い、成果を上げるも大将を失い撤収。それから間もなく上杉謙信の攻撃により城は落城し、児山氏は滅亡したとされています。

現在における児山城

児山城跡は、栃木県内でも特に価値のある史跡として1961年に指定されました。現在も本丸を中心に堀や土塁が残されており、地域住民の関心を集めています。城跡の保全を目的とした活動が行われ、地元の団体は自生するヤマユリをモチーフにした御城印を販売し、その収益を保全活動に充てています。

また、児山氏の子孫についても関心が持たれており、郷土史家は児山姓の家系が現在も残っている可能性を探求しています。彼は、道のりを通じて多くの児山姓の家に話を聞き、かつての児山城主との関連性を確認するに至りました。

この児山城は、歴史の重みを感じる遺跡であり、今後もその魅力が引き継がれていくことでしょう。

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