児玉九一

児玉九一の生涯

児玉九一（こだま きゅういち / くいち、1893年8月3日 - 1960年5月23日）は、日本の内務官僚です。県知事、厚生次官、中国地方総監などを歴任しました。陸軍大将・児玉源太郎の七男として生まれ、その家柄からも、将来を嘱望された人物でした。

生い立ちと学歴

1893年、山口県に生まれた児玉九一は、幼少期から優秀で、東京高等師範学校附属中学校（現・筑波大学附属中学校・高等学校）を卒業後、第一高等学校に進学しました。1919年には、東京帝国大学法学部政治学科を卒業し、高等試験行政科試験にも合格しました。この頃から、官僚としてのキャリアを歩むことを決意していたのでしょう。

内務官僚としてのキャリア

1919年、内務省に入省した児玉九一は、地方局属としてキャリアをスタートさせました。その後、静岡県志太郡長、静岡県警視、内務事務官、復興局事務官、内閣総理大臣秘書官、鉄道省事務官、内務書記官、神社局総務課長、兼造神宮使庁主事、大臣官房会計課長など、様々な役職を歴任しました。これらの経験を通じて、地方行政から中央官庁まで、幅広い知識と経験を積んでいきました。

1936年9月には、島根県知事に就任し、その後も、内務省神社局長兼造神宮副使、福岡県知事、愛知県知事などを歴任しました。これらの知事としての経験は、児玉九一の行政官としての能力をさらに高めることになりました。

戦中・戦後の活動

太平洋戦争中には、厚生次官、東京都次長などを歴任し、戦時下の行政運営に携わりました。そして1945年8月、中国地方総監・大塚惟精が原爆投下により被爆死したことを受け、その後任として中国地方総監に就任しました。終戦直後の混乱期に、中国地方の復興に尽力しました。また、1945年10月11日から同月27日までの16日間、広島県知事を兼任しました。同年10月31日、地方総監府の廃止により失職しましたが、その後も、中国地方行政事務局長 や新宿御苑保存協会副会長などを務めました。

文化財保護への貢献

児玉九一は、内務省神社局長時代には、明治神宮外苑競技場の改築案に対し、周囲の景観を損なうとして反対しました。また、戦後の明治神宮外苑管理部長時代には、国立競技場建設に対し、景観保護の観点から意見を述べました。これらのエピソードから、児玉九一が文化財や自然景観を大切にしていたことがわかります。

晩年

1960年5月23日、児玉九一は66歳で亡くなりました。彼の生涯は、激動の時代を駆け抜けた官僚の姿を象徴しており、その功績は今もなお、多くの人々に記憶されています。

栄典

1930年（昭和5年）12月5日 - 帝都復興記念章
1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章

親族

長兄：児玉秀雄（貴族院議員・伯爵）
三兄：児玉友雄（陸軍中将）
義父：大森鍾一（貴族院議員・男爵）

著作

『神社行政』自治行政叢書 第1巻、常盤書房、1934年。

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