児玉弘行

児玉 弘行についての考察

児玉 弘行（こだま ひろゆき、生没年不詳）は、平安時代後期に活躍した武士で、武蔵国児玉郡において重要な役割を果たした人物です。彼は児玉党の本宗家の二代目であり、通称は大夫と呼ばれています。本記事では、弘行の出生や活動、そして彼にまつわる伝承などを詳しく掘り下げていきます。

生い立ちと家族構成

弘行は、有道児玉惟行の嫡男として誕生しました。父惟行は児玉党の創始者とされるため、弘行は幼少期からその後を継ぐ責任を担っていたことでしょう。系図によれば、彼は「遠峰 有太夫 別当 弘行」と記され、父の職業的な役割を引き継いで阿久原牧の管理を行なっていたと推測されています。また、父惟行の死後もその土地の影響力を保つために活動していたことが分かります。

兄弟には児玉経行、児玉貞行、そして児玉惟親がいました。中でも、児玉惟親の子孫の中には弘行の嫡男である児玉家行と同名の者も存在したと言われています。系図によると、弘行には2人の子がいて、嫡男として有道家行、次男の有道資行が明記されています。しかし、一部の系図では三男に基行がいるとの記述もあり、その後の伝承が複雑さを増しています。

後三年の役への参加

弘行は永保3年（1083年）に起きた後三年の役に参加したとして伝えられています。彼は源八幡太郎義家の副将軍として参戦し、清原家衡や清原武衡との戦いに臨んだとのことです。この戦闘に関する伝承は後白河上皇の命によって作成された『奥州後三年合戦絵巻』に描かれたとも言われていますが、後にその名は他の人物に書き換えられてしまったというエピソードも存在します。

伝承によると、後三年の役において弘行は軍功を挙げ、源義家から団扇を授かったとされています。これが児玉党の軍旗の由来となったとされ、後に家紋が軍配団扇紋へと発展する背景が浮かび上がります。

地域での影響力

また、奥州征伐後には、弘行とその弟経行が児玉郡に居住するよう命じられたとされています。この影響を受けて、弘行は児玉・入西の両郡や久下、村岡、忍などの地域を支配していたようです。以降の活動においては、源義家に従わない多胡氏を討伐する命令を受け、自らの代官として弟経行を派遣し、見事に多胡氏を討伐したとの伝承が残っています。これらの事例から、源氏との密接な関係性が示唆されます。

児玉党と源氏の関係

興味深いことに、弘行の弟である児玉経行の娘が源義朝の嫡子・義平の乳母になったという記録があります。このことは児玉党が早期から河内源氏に従属し、中央政府との結びつきを強化しようとした動きを示しています。

また、児玉党が有道を名乗る時代には、氏の呼び名が「遠峰」でしたが、後に「児玉」と書かれるようになったことも示されています。これらの歴史的な背景が、後世の児玉党にどのような影響を与えたのかは、今後の研究課題となるでしょう。

総括

以上、児玉弘行の生涯とその活動について考察しました。彼の貢献や政略、さらには家族との関係性は、平安時代の日本における武士の在り方やその変遷を知る手がかりとなります。今後も児玉党やその系譜についての研究を進めることで、新たな事実が明らかになることが期待されます。

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