入江たか子

入江たか子 - 日本を代表する映画女優

生い立ちと背景

入江たか子（本名：東坊城英子）は、1911年に東京市四谷区に生まれました。彼女は子爵家の出身で、父・東坊城徳長も貴族院議員だったことから、裕福な家庭で育ちました。しかし、1922年に父が亡くなると家庭は困窮し、入江は文化学院に入学します。そこで彼女は油絵を学び学校生活を送りますが、関東大震災で家が被災し、厳しい生活を強いられることになります。

映画界への道

1927年、文化学院を卒業した入江は、兄の東坊城恭長の助けを得て京都に移り、同年に新劇の舞台にデビューしました。その演技が内田吐夢の目に留まり、日活に入社。映画『けちんぼ長者』で主演を果たし、たちまち注目の存在となります。その後、数々の作品に出演し、日活現代劇の人気女優としての地位を確立しました。

独立プロダクション「入江ぷろ」の設立

1932年、入江は新興キネマと提携し、映画製作会社「入江ぷろだくしょん」を創立しました。これは女優として初の独立プロダクションの試みであり、彼女は日本映画界の最高峰に立つ存在となります。しかし、入江ぷろは1937年に解散し、彼女は東宝と契約します。

東宝での活躍と波乱の人生

東宝に移籍後、入江は多くの映画に出演し、長者番付にも登場。1941年に主演した『白鷺』の名ゼリフが話題になりましたが、戦争の影響で心情は複雑化し、兄の死も相次ぎ、やがて仕事への熱意も失われました。1945年には病気に苦しみながらも、舞台復帰を果たします。

復活と晩年

1950年代にバセドウ病を克服した入江は、大映と契約し再び作品に参加。特に『怪談佐賀屋敷』では、化け猫女優として人気を博しました。晩年には実業界に転身し、喫茶店を開業。その後も映画に出演し続け、1980年代には娘と共演する機会も得ます。

人物とエピソード

入江の愛称は「おたか」で、彼女は非常に美人でありながらも、高貴な背景に恵まれた気品ある女優でした。彼女は岡田茉莉子や高峰秀子と並び、日本映画史上の三大美人として称えられています。また、入江は戦後、化け猫映画という独特なジャンルの女優として、一世を風靡しましたが、その一方で、監督との関係に悩むことも多かったようです。

死去と遺産

入江たか子は1995年に肺炎で亡くなりました。享年83。彼女の映像遺産や演技力は、今もなお多くの人々に愛され続けており、映画界での彼女の足跡は、決して色褪せることはありません。

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