入江隆則

入江隆則：英米文学研究者、評論家、そして保守派言論人

入江隆則（いりえ たかのり）は、1935年9月19日生まれの日本の文学研究者・評論家です。明治大学名誉教授であり、専門は英米文学、比較文化論です。保守派の言論人としても知られ、日本会議の代表委員を務めています。

生い立ちと学歴

入江は神奈川県横浜市で生まれました。京都大学文学部英文学科を卒業後、岩波映画製作所でシナリオ執筆を担当。その後、東京都立大学大学院に進学し、佐伯彰一に師事しました。1966年に修士課程を修了しています。

学術研究と教育活動

1966年、入江は東京医科大学専任講師として教鞭を執り始めました。その後、明治大学に移り、商学部専任講師、助教授を経て、1977年に教授に昇格。明治大学では長年にわたり教鞭を執り、英米文学、比較文化論の研究・教育に尽力しました。また、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院、オーストラリア国立大学太平洋アジア研究所、モナシュ大学日本研究センターなど、海外の研究機関でも客員研究員を務め、国際的な視野を広げました。2006年に明治大学を定年退職し、名誉教授となりました。

保守派の言論人としての活動

入江は保守派の言論人としても活発な活動を展開しています。『産経新聞』、『正論』、『諸君!』、『Voice』などの言論誌に寄稿・連載し、独自の視点から日本の文化、歴史、政治について論じています。日本会議の代表委員としても活動し、保守の立場から様々な提言を行っています。また、井尻千男、小堀桂一郎らと共に4月28日の主権回復記念日での祝日制定を提唱し、1997年から毎年同日に主権回復記念国民集会を主宰しています。

受賞歴

入江は研究者、評論家としての活動を通じて、数々の賞を受賞しています。

1964年：科学技術映像祭入賞＝「住宅量産化への歩み」
1964年：教育映画祭最高賞＝「メタルフォームの使い方」
1964年：第7回日本紹介映画コンクール金賞＝「若いいのち－法政大学の学生たち－」
1972年：第4回亀井勝一郎賞＝「幻想のかなたに」

核武装論

入江は、日本の安全保障に関する独自の主張を展開しています。特に、日本の周辺国（中国、ロシア、北朝鮮）が核兵器を保有している状況下では、日本も核武装をしなければ完全に対等にはなれないと主張しています。また、中国については「あらゆる側面で虚偽と謀略に満ちた恐ろしい国である」と厳しく批判し、日本が中国の脅威に対抗するために核武装することは「当然すぎるほど当然なこと」と述べています。

著作

入江は多数の著作を発表しています。以下はその一部です。

『幻想のかなたに』 新潮社、1972年
『薄められた狂気』 冬樹社、1974年
『見者ロレンス』 講談社、1974年
『新井白石：闘いの肖像』 新潮社、1979年
『ロンドン幽愁』 北洋社、1979年
『文学の沙漠のなかで』 新潮社、1985年
『敗者の戦後：ナポレオン・ヒトラー・昭和天皇』 中央公論社、1989年
『グローバル・ヘレニズムの出現：世界は「江戸化」する』 日本教文社、1990年
『日本がつくる新文明』 講談社、1992年
『日本国家「最後の勝ち方」』 東洋経済新報社、1995年
『太平洋文明の興亡：アジアと西洋・盛衰の500年』 PHP研究所、1997年
『文明論の現在』 玉川大学出版部、2003年
『海洋アジアと日本の将来：続・文明論の現在』 玉川大学出版部、2004年
『衰亡か再生か：岐路に立つ日本』 麗澤大学出版会、2006年
* 『告白：ある文明史家の精神遍歴』 洋泉社、2008年

これらの著作を通して、入江は自身の思想、歴史観、文明観を広く社会に発信しています。

入江隆則は、文学研究者、評論家としてだけでなく、保守派の言論人としても日本の社会に大きな影響を与え続けています。その多岐にわたる活動と、独自の視点からの言論は、今後も注目されるでしょう。

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