入谷仙介

入谷仙介（1933年6月29日 - 2003年6月1日）は、中国文学者として著名であり、島根大学名誉教授の称号を持つ。また、元全国難聴者連絡協議会の会長としても活躍した。専門は中国文学、特に日本漢文学であった。

兵庫県に生まれ、京都大学文学部を卒業。その後、京都大学大学院博士課程を修了し、学問の道を究めた。富士川英郎らと共に、汲古書院「詩集日本漢詩」の編集委員を務めるなど、研究者としての活動も精力的に行った。2003年、肺癌のため逝去。享年71歳であった。

入谷仙介は、中国文学、特に漢詩に関する多数の著作を残している。その研究は多岐にわたり、古典中国文学から近代文学としての明治漢詩まで、幅広い時代とテーマを扱っている。

主な著書としては、以下のようなものが挙げられる。

『共に育つ難聴者教育』(京都新聞社, 1978)
『出雲漢詩散歩』(たたら書房, 1987)
『近代文学としての明治漢詩』(研文出版, 1989)
『陽関に故人無からん 老留学生漢詩の旅』(筑摩書房, 1995)
『「西遊記」の神話学』(中公新書, 1998)
『風呂で読む王維』(世界思想社, 2000)
『詩人の視線と聴覚 王維と陸游』(研文出版, 2011)

古典中国文学に関する著書も多数あり、中国詩人選集や古詩選、宋詩選など、中国文学の研究に大きく貢献した。

『第二集中国詩人選集10 高啓』(岩波書店, 1962)
『古詩選 中国古典選』(朝日新聞社, 1966)
『宋詩選』(朝日新聞社, 1967)
『西遊記 世界文学全集9』(筑摩書房, 1968)
『王維 中国詩文選13』(筑摩書房, 1973)

また、頼山陽や梁川星巌、柏木如亭、中島棕隠など、日本の漢詩人の校注も手がけ、日本漢文学の研究にも尽力した。

入谷仙介は、教育者としても優れていた。島根大学では多くの学生を指導し、中国文学、日本漢文学の分野で活躍する人材を育成した。また、全国難聴者連絡協議会の会長として、聴覚障害者の福祉向上にも貢献した。

入谷仙介の死後、その業績を記念して『人生に素風有り 入谷仙介先生追悼文集』が刊行された。これは、入谷仙介の人となりと学問に対する情熱を偲ぶ貴重な資料となっている。

入谷仙介は、中国文学、日本漢文学の研究者として、また教育者として、多くの人々に影響を与えた。その業績は、今後も長く評価され続けるだろう。

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